福田豊BLOG『今日も明日もロックンロール!』

福田 豊

ライター

1959年東京生まれ。ライター、編集者。もともとは建築家であったが、ひょんなことから、出版界に移籍。『エスクァイア日本版』広告営業、編集部の後、現職。『LEON』『OCEANS』『ENGINE』『MADURO』などの雑誌を中心に、時計、クルマ、ファッション、旅などなど、男性のライフスタイル全般について執筆。

第9回:McDonald And Giles 『McDonald And Giles』 (1970年)

5月24日
前回のキング・クリムゾンに関連して、マクドナルド & ジャイルズのアルバムのご紹介。マニアックかもしれませんが、クリムゾンのファンであれば、聴いておきたい名盤です。

前回のキング・クリムゾン『Red』のブログを告知したFBに、親しくさせていただいている神戸の有名時計店社長のKさんがコメントを下さいました。そしてそのなかで、マクドナルド & ジャイルズの『McDonald And Giles』を愛聴しているとおっしゃり、ふくだも好きだとお返事をすると、「マクドナルド & ジャイルズを好きな方と初めて出会いましたー!」と。

なるほど、確かに、マニアックかも。きっと、ご存じではない方も多いでしょう。そこで、この機会に、ご紹介します。

マクドナルド & ジャイルズは、キング・クリムゾンのオリジナルメンバーであった、イアン・マクドナルドとマイケル・ジャイルズのユニット。マクドナルドはサックスやフルート、メロトロンなどのマルチ奏者であるほか、キング・クリムゾンの最初期の曲作りにも大きく寄与。ジャイルズはシンバルとタムを多用したメロディアスでリリカルなドラムで、やはり最初期のキング・クリムゾンの独特の世界観を築いた功労者。そうしてキング・クリムゾンの歴史的名作のデビューアルバム『In The Court Of The Crimson King』(1969年)が生まれるのですが、しかしその直後のアメリカツアーでの緊張したライヴ演奏とハードなスケジュールに疲弊して2人は脱退。マクドナルド & ジャイルズを結成しアルバム『McDonald And Giles』(1970年)を発表したのです。

で、さらにマニアックな話をすると。そもそもキング・クリムゾンは、マイケル・ジャイルズと、その弟のピーター・ジャイルズの兄弟ユニットが「歌えるオルガン奏者募集」の広告を出したところ、まったく歌えないギタリストのロバート・フリップがそれに応募し参加したのが、その始まり。ジャイルズ & フィリップ(GG & F)を結成しアルバム『The Cheerful Insanity Of Giles, Giles & Fripp』(1968年)を発表したのですが、ただし同作のポップな曲調はキング・クリムゾンとはほど遠いものでした。

しかし、そこにイアン・マクドナルドが参加するなどで、徐々にキング・クリムゾンに進化。ことにイアン・マクドナルドの当時のガールフレンドで、元、フェアポート・コンヴェンションのシンガーであったジュディ・ダイブルが『In The Court Of The Crimson King』収録の「I Take To The Wind」を歌ったデモは、まさにGG & Fがキング・クリムゾンへと変わりつつある瞬間を捉えたもの。キング・クリムゾンの初のベストアルバム『The Young Person’s Guide To King Crimson』(1976年)にロバート・フリップが選曲したことで世に知られるようになった、隠れた名曲です。

ちなみに、このデモは2001年に発掘されたGG & Fの未発表音源『The Brondesbury Tapes』にも収録。さらにその原型や、後のキング・クリムゾンの原曲をいくつも聴くことができます。

さて。『McDonald And Giles』の聴き所はというと『In The Court Of The Crimson King』のロマンチックな部分を引き継いだようなところ。また、2曲目の「Flight Of The Ibis」はキング・クリムゾンの2ndアルバム『In The Wake Of Poseidon』(1970年)の「Cadence And Cascade」の歌詞違いで、この原曲がイアン・マクドナルドの作であることがわかる。などなどと、聴けば聴くほど味わい深い名盤。キング・クリムゾンのファンであれば、一度は聴いてみることをおすすめします。

blogger :福田 豊

プロフィール

1959年東京生まれ。ライター、編集者。もともとは建築家であったが、ひょんなことから、出版界に移籍。『エスクァイア日本版』広告営業、編集部の後、現職。『LEON』『OCEANS』『ENGINE』『MADURO』などの雑誌を中心に、時計、クルマ、ファッション、旅などなど、男性のライフスタイル全般について執筆。

福田 豊ブログ記事

RANKINGランキング

NEW新着

GENDERLESS紳士&淑女

MALE紳士

FEMALE淑女

top back