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『R-TYPE FINAL 2』開発者インタビュー!2020年代に放たれる現代的なシューティングゲームの形とは | Game*Spark

4月29日(PC版は5月1日)についに発売となった、グランゼーラが制作・販売を行うサイドビューシューティング『R-TYPE』シリーズ最新作『R-TYPE FINAL 2(アールタイプ ファイナル 2)』。今回はそれを記念し、発売約一週間前のタイミングで、グランゼーラの広報の西村麻由美氏とチーフクリエイターの九条一馬氏にリモート形式でインタビューを行いました。

今回のインタビューでは、『R-TYPE FINAL 2』だけでなく前作『R-TYPE FINAL』やシューティングというゲームジャンルそのものに関すること、そして九条氏の思うリメイクしたいタイトルなど、様々なトピックを取り上げています。非常に長い内容ですが、是非、最後までお読みいただければと思います。


『R-TYPE FINAL 2』という存在、「夏の夕暮れ」のその先へ

――『R-TYPE FINAL 2』発売まであと少しです!早速ですが今のお気持ちを教えて下さい。

九条一馬氏(以下、九条): 楽しみですね。開発状況としては、おおよその部分は終わっていて、追加機能の制作や一部クラウドファンディングのご支援者様向けの対応など、まだ終わってない部分に取り組んでいます。

「楽しみ」とした理由の一つですが、もしリリース後に賛否両論あったり、不満をいただいたとしても、以前であれば「変えられない、直せない」というところ、今の時代のゲームの作り方では改良の機会が許されているため、非常に前向きに受け止められるところが大きいです。

本作では、今までシリーズをプレイしたことがない人にもやっていただけたらな、ということで、そういった層に向けた施策も、地味ながらに用意しています。一方で、旧作をやっていた人が「えーっ!」っと驚くならば、その意見も見てみたいです(笑)

また、『DELTA』と『FINAL』、そして今回『FINAL 2』の時では、大分自分にかかるプレッシャーも違いますね。『DELTA』当時(『R-TYPE DELTA』は1998年11月発売)には、『R-TYPE』というブランドが大きくて、グラフィックをポリゴンにすることや家庭用向けにするといった判断についてプレッシャーがありました。「これでいいのかな?『R-TYPE』として認められるのかな?」というものと、「せっかくポリゴンにするなら3Dを活かさないと!」という相反する思いが凄く強かったです。当時は色々なことを気にして作っていました。

一方で『FINAL』の時(『R-TYPE FINAL』は2003年6月発売)は、もう少し開き直っていました。「作りたいように作ろう」ということで。『R-TYPE』だけでなくアイレムからシューティング自体がもう出せないと思ったため、色々なものを詰め込もうとしましたけれど、『DELTA』の時のようなプレッシャーはなく、「『R-TYPE』たりえるか?」という部分はあまり心配せずに作れました。

そして、今回の『R-TYPE FINAL 2』はさらにもっと「やりたいところだけ、作りたいところだけ作ろう」という感じです。「奇をてらおう」や「インパクトを出そう」とか、「何かを捻ろう」はありませんでした。カメラも「3Dなんだから」と大胆に動かすことも少なく、むしろサイドビューシューティングなので、ほとんどのシーンを横視点で作っています。新機能を足そうという野心も控えめに。本当に「今『R-TYPE』を作ったらどうなるのかな?」という気持ちでしたので、その中でも現代的に作った部分の反応はどうなるのか楽しみですね。

今作で新たに備えた現代的な部分が仮に否定的であっても、先に話した通り、今だったら「こんな風に変えてみよう」や「こんな機能を追加してみよう」と取り組めるので、終わった感じがしないですね。一時は納期が間に合うか、間に合わないかで凄く追い詰められていましたけれど、区切りがついて今は、発売日以降に本作を「どう追加したり変えていこうかな?」と考えています。

リリース後は新たな感想をいただけるので、この先の『R-TYPE FINAL 2』を「今考えているものでいいのか?」や「もう少し変えた方がいいのか?」と選べますから。また、既に年末までにやりたい計画も今の時点でありますので、そこにプレイしてくれた方の意見を取り入れて修正する必要の有無も含めてですね。

そういう意味では『R-TYPE FINAL 2』という、完成された新しいゲームがリリースされたのでなく、「『R-TYPE FINAL 2』という新しいSTGプラットフォーム」が来週スタートする気持ちです。スタッフにも「(さらに)2年は(開発を)やるよ!」と話しています。

――なるほど。リリース後も継続的な開発が続くというのは嬉しいですね!

九条: はい!「Team R-TYPE FINAL 2」を続けていきたいと思っています。

――体験版が4月1日に配信されましたが、ユーザーの反応は見ましたか?

九条: 見ていますよ。それを受けて、こそっと調整しました(小声)ユーザーの不満に対して、「今のうちに直そう、次のパッチで入るから」と。良い時代だと思いますね。クラウドファンディングや生放送の時でも時々言うのですが、一緒に作っている感覚があります。飾った言葉でなく、本当にそう思えますね。

なぜなら、どうしても自分や開発スタッフだけの視点ではわからない所もあるからです。プレイしてくれた方の意見全部には応えられないかもしれませんが「なるほどな」と思えるところは、積極的に、自然に取り入れていますね。体験版ももう少し早く出せれば良かったのですけれど、開発のプロセスの都合もありまして。一部のプラットフォームでは配信が遅れているところもありますが、4月には配信出来て良かったです。

――体験版の配信は発売まで約1ヶ月とギリギリのタイミングでしたよね。

九条: 去年の夏、今年の2月、告知していたものがいくつか間に合わなくて「なぜこんなに上手くいかないのだろう…」と色々反省していました。

進めていると反省点はあるのですが、改善や追加の対応ができるのはありがたいことだと思っています。

10~15年前は、ゲームの不具合で回収なんて事を耳にしたりすると、「ゲームのビジネスなんてもう成り立たないんじゃないか」とすら思ったこともありました。現代では、皆さんアップデートに対して肯定的に捉えてくださる方も多くて本当に救われます。プレイしてくれるユーザーもその環境を活かして、より楽しもうという姿勢なんだろうなと感じます。アップデートで機能を追加したり、改善できたりするのは凄く楽しいですね。

――時代が変わりましたよね。

九条: 良いところばかりでないかもしれないけれど、私は間違いなく今の方がいいですね。当時「PCゲームみたいにパッチを当てられればいいのに!」と言っていましたから。今はそれが実現出来ているのは凄いなと思います。

『R-TYPE』が再び発てたのは多くの支援者の存在あってこそ

――本作の開発で苦労したことや忘れられないエピソードはありましたか?

九条: 苦労というのは『FINAL』の時と比べるとそんなにありませんでした。どちらかと言えば、クラウドファンディングで1万人もの方にご支援いただいたのは、経済的な意味だけでなく色々な意味で支えになりました。

クラウドファンディングをやらず開発を進めていたら「今『R-TYPE』を作ってどうなるの?」や、「今の時代に出していいのか?」という疑問への不安を抱えたまま発売を迎えていたと思うんですよ。そういう点では、事前に皆様に「こういうのを作ろうとしています」という話ができ、関心を持ってくれる人や応援しようとしている人がいることも知ることができて。もちろん、それが僅かながらプレッシャーにもなっていますが、それでも発表から2年経っても「苦労した」という覚えは無いですね。

――開発するうえでハッキリと自信に繋がったのがKickstarterの支援者の存在だったのですね。

九条: それが大きいですね。だから、開発で忘れられないエピソードはクラウドファンディングをやったことですね。実は、私も最初から「(クラウドファンディングを)やるぞ!」という感じではありませんでした。当初は「やることを検討しよう」みたいな感じだったんです。むしろ「ゲームメーカーがクラウドファンディングをやるのはない」と思っていた方でした。だから、当初の告知段階では「やるかも?」程度の匂わせで、以降は正直言って「さすがにやれないよな」と思いながらもうやむやになってしまうかと思っていました。

ですが……グランゼーラの本社機能(開発ではない)を2019年5月に石川県金沢市へ移した際に、施工業者さんが「ここゲームのグランゼーラですよね。クラウドファンディングまだやらないんですか?」と。ユーザーサポートにも「やらないの?お金持って待っているんだけど!?」とご意見をいただき、本当にそこまで支援を考えて下っている方がいることを知り、そこも含めてちゃんとやろう!と思いました。

正直なところを言うと、クラウドファンディングを匂わせた直後は、結果も怖かったので、実施する踏ん切りがつきませんでした。蓋を開けてみれば結果にはビックリしました

※『R-TYPE FINAL 2』の最終的なKickstarterの支援額は日本円で約1億3千万円、総支援者数は約1万1千人ほど

開発に関しては、前作『FINAL』や『DELTA』を一緒に作っていたスタッフがそのままいたりするので、そういう意味で苦労はもう18年前にしちゃっているんですよね(笑)そういったスタッフには「あれはああで、これはこうだよね。今回はここをこうしたいんだよね」と言うだけで大体話しが通ります。

一方で若いスタッフが『R-TYPE』に対し、(サイドビューの)シューティングゲーム自体に関心を持つかを最初心配していました。ですが、参考にTozai Gamesさんの『R-Type Dimensions』や旧作をプレイして貰って、「難しいけれど面白い」と面白さをわかってもらえたので、こちらも苦労よりは楽しさのほうが勝っていました。

――クラウドファンディングの支援はハッキリと数字が出てしまうのが怖いですよね。施工業者さんやユーザーからの声かけが実施に繋がったとなると感慨深いですね。

九条: 「もうこれはやらないと!」と。始まってすぐは不安でしたけれど、設定した目標をすぐ超えたことに圧倒されましたね。※2

※2: 『R-TYPE FINAL 2』のKickstarter実施期間は1週間ほど。Kickstarterのゲーム関連のプロジェクトは、通常1ヶ月ほど期間を取ることが多いためこの短さも注目された。実施期間が短かったため後に追加で実施もされた。

――Kickstarter絡みなのですが生放送「グランゼーラの集い」などで度々ユーザーからチャットにて進捗報告が滞っていたことが指摘されていましたが、コロナ禍もあり全体のリソースの配分が難しかったのでしょうか?

九条: コロナの影響が無いわけではありませんが、どちらかと言えば開発の進捗報告というもの自体がお見せしてあまり面白いものではないと思ったからです。進捗報告にはやはり新しい画面をセットで出したいとなるのですが、一方で開発の大半が目に見えない、地味な部分を作る工程なので。

それに、開発報告ですべて見えてしまうとプレイする時の楽しみがなくなってしまわないか心配して、うまく情報が出せなくなってしまいました。ですから、2つの点で報告しづらかったのです。1つは視覚的に見える報告が出来ないこと、もう1つはゲームの仕組み上大きなネタバレになってしまうことです。

それでも、今となっては、進捗の報告の仕方は何か工夫のしようがあったかなと……。この件については、事前の見込みが甘かったことや、報告の工夫が足りなかったことでご迷惑おかけしたかなと思っています。

――確かに。自分も個人的な繋がりで、ゲームジャムでゲーム開発に参加したことがあったのですが、目に見えないわかりにくい地味な作業が全体に大きな影響を与えたりすることがありますよね。

九条: 作っている自分達は「これで良くなった!」と思うんだけど、外部からは見た目が大差なく「先月と何が違うの?」となってしまいますよね。

正直に言えば開発チームと情報を出していくチームとの連携が取れていなかったこともあります。Kickstarterを実施した直後は私も状況を良く見ていたのですが、一旦開発のほうに集中しだした後は、情報を出すチームにタイミングよく連絡ができず出せたはずの情報が公開できなかったりもして。運営がまずかったかなと考えています。

そのお詫びとして、去年の九月にMCに人事部のマネージャーを立てて、僕がお詫びをする配信「R-TYPE FINAL 2の集い」をやりました。

残念ながら4月23日の放送で「グランゼーラの集い」は終了

西村氏: 結局、その流れでずっと同配信では人事部がMCをやる形となっていました(笑)

今の時代に適応した『R-TYPE FINAL 2』

――『FINAL2』体験版をプレイしてみて気付いたのですが、従来のアーケードSTG文法でなく成長曲線を意識したコンソール寄りの文法で構成されているのに気付きました。その部分は、先に九条氏が言っていた「今の時代に『R-TYPE』を作る」ところに反映されているのでしょうか?

九条: まさにその通りです。元々がアーケードゲームだからといって、何もかもアーケードSTGの文法に合わせるとコンソールSTGとして無理があります。

過去シリーズの内容の良さはもちろんわかりますが、(現代のSTGとして)数千円のお金をユーザーが払った以上、クリアできて、長く遊べるというところは本当に気にしています。

これは「100円で3分以内に面白さを全部伝える」と同時に「100円分遊んでもらったら終わって貰わないと困る」いうアーケードのビジネスモデルとは別なので、結果、初代や『2』のテイストとは違った感覚になってしまうかもしれません。また、従来作の文法を知らないユーザーにも楽しんでもらいたいと思いました。今回は本当に「コンソールの『R-TYPE』」にしたつもりですね。

――なるほど!『FINAL 2』の体験版構成に納得ができました。コンソール向けであるなら、最初は簡単に、後に歯応えあるように盛り上がっていくのであれば十分に期待できます!

九条: 歯ごたえがあったほうが良いのかもしれないけれど、最初は簡単でも良いじゃないという話です。その代わり、プレイしていくと難易度が高いステージが増えていきます。

――ここで少し過去作について聞ききたいと思います。九条氏が関わった過去作の『R-TYPE DELTA』や前作『R-TYPE FINAL』を遊んでみると、90年代と00年代前半当時における既存のSTGとアプローチが違うように思えました。九条氏の考えるシューティングゲームの面白さというのは、どういったものでしょうか?

九条: 『R-TYPE III』がコンソールで出ていたのは知っていますが、元々の80年代や90年代のシューティングゲームってアーケード向けだと思うんですよ。だから『DELTA』を作っていた時は、STGはアーケードゲームとしてでないと成り立たないジャンルじゃないかと考えていました。「100円で今日どこまで行けた」や「人が挑戦しているゲームプレイを見て上手いと思う」「自分のプレイを人に見てもらう」などの魅力が、アーケードに適しているのも大きいです。以前はこういう感覚がコンソールのシューティングゲームでは作りにくいと感じていました。

だけど、今はそれも一巡して、コンソールとしてのシューティングもいいのかな?と思っています。今のゲームってほとんどのジャンルが、昨日プレイした途中から今日再開するという形を取っているじゃないですか。そうなるとゲームをプレイする際には「昨日遊んだ内容はどうだっけ?」や、二週間も空いたら「前はどんなことしていたっけ?」みたいな状態になってしまいます。ストーリーを楽しむゲームは特にそうなります。

ですが、シューティングゲームは電源を入れたらその日その日で毎回最初から。そういう軽いノリでプレイ出来るゲームが時代に合うようになってきた気もします。1面からプレイして、がっつり4~5時間費やして2面から3面へとプレイして「ここまでプレイした!」というのではなく、「今日は1プレイだけやろう」というスタイルは今の時代にむしろ合うようになっているのではと思います。

――スマートフォンやニンテンドースイッチなど携帯出来るゲーム機はそういったスタイルに近いですよね

九条: アーケードと違うのはゲーム自体は毎回1面からでも、その日々のゲームプレイの繰り返しによってゲーム内で得られるものがあるというのがコンソールのSTGの良いところではないでしょうか。例えば、ステージが増えていくとか、プレイヤーの機体が増えていくとかです。

今回の『R-TYPE FINAL 2』では、一回最終面までクリアすると「コースエディット」が解禁されます。一度クリアしたことのあるステージの順番を組み合わせて、自分のだけの1周7ステージを作れる機能です。順番を入れ替えたり、新しく発見したステージを間に挟んだり、ステージ名も変更出来るので、シューティングの1プレイの感覚はそのままに、家庭用ならではの毎日の積み重ねで遊び方が広がるようにしてあります。

その日その日新鮮な気持ちで遊んで貰って、割と短いスパンで止められて、また明日も遊びたくなるというのがシューティングゲームの良いところだと思うし、それを繰り返せるところがコンソールにおけるシューティングの良いところ。そういったものが今の2021年のシューティングゲームの形なのかなと思っていますね。

関連して、現在は追加DLCで、「オマージュステージ」という過去作のステージをアレンジしたものを用意しています。同様に、発売後もステージを有料・無料ともに足していこうと思っていますので、それらからお好みのステージを見つけて、プレイする方自身のコースに組み込んでいくのも、自分で作っていて言うのもなんですけど面白いなと思います。あと、実況動画もより意識しています。

――ゲーム実況を意識しているのですね!そうなると見栄えが良いステージギミックなどが登場するんですか?

九条: 前述したステージコースのカスタマイズやステージ名の変更、機体へのかなり大胆なデカール貼り付けなどを活用してもらって、1面はこのステージでこういう名前で、2面ではこのステージを持ってきてこんな名前に変えるなど、プレイする人個々のスト―リーを作り出して、その人の物語として実況してもらうところを意識しました。

――更なるカスタマイズ要素などは今までのシューティングゲームと異なりますよね。まさに、今まで欠けていた現代的な部分に届かせようとしているように思えます。

九条: それでも原点はアーケードなんです。何故かと言うとアーケードは(ゲームプレイが)上手いと人が集まってギャラリーが形成されるじゃないですか。シューティングゲームが家庭用に入った時に見てくれる人が無くなっちゃったんですよ。今はもう一巡して、実況動画やリアルタイムの配信とか流行っていたりして、また人に見て貰えるようになった。

アーケードの時のように上手いプレイだと注目されるというのが一旦家庭用になった時に失われていたのですけど、そういう流れを、いま勢いのあるインフラでやることを意識しました。シューティングの興奮というか、人に見てもらうことを成立させるにはどうすればいいか。上手なプレイもそうなのですが、ゲーム自体の順番も入れ替えていて、名前も付けられて、というのをできたらいいなと思っています。実は『R-TYPE FINAL 2』というタイトルすら変更できます(笑)

――タイトルすら変更できるんですか!?

九条: スタッフも最初は私が何を言っているのかわからなかったみたいです。タイトルエディット機能の仕様を書いたら「何を言っているんですか!?」と(笑)「『R-TYPE FINAL 2』という名前がみんな変だと言うから、変えられるようにしておこうよ」という話で、こちらも一回エンディングまで行くとタイトルを変えられます。

例えば『R-TYPE 5』にも出来るし、『R-TYPE FINAL FINAL』と続けられるし(笑)こういった家庭用ならではの機能は入れてありますが、サイドビューシューティングという部分は奇をてらっていないですね。

『R-TYPE FINAL』「STG衰退論」という終わりなき論争が生まれた00年代

――タイトルエディットはクリア後のお楽しみなんですね!ところで、前作『FINAL』のことを詳しく教えてください。当時最終作と宣言した『FINAL』発売後のレビューやプレイヤーの反応はどうだったのでしょうか?

九条: そうですね、『FINAL』は『FINAL』で「出してくれてありがとう」というのもあれば、初代『R-TYPE』と比べられるところもあるので、機体が多くて喜んでいる人もいれば、こんなに機体を沢山作らなくて良いから、もう少し歯ごたえが欲しいなど賛否両論な色々な意見がありました。当時は作り手としてやれることを全部やろうとしたので、やりきった感はありましたね。

実際は、2000年代前半にもシューティングゲームをプレイしたいと思ってくれている方はそれなりの数いたのかもしれませんが、どうしても他のジャンルが注目を浴びていて、相対的にシューティングゲームの存在感が薄くなり、このジャンルに投資しようとするゲームメーカーも、このジャンルが売れると思う流通さんも、シューティングゲームを大きく取り扱ってくれるメディアも限られるようになっていたと思います。

『R-TYPE FINAL』を作ったのは、「誰か次に『R-TYPE』を作ってくれないかな」と言われても(アイレム)社内で手を上げてくれる人がいないなかでしたね。最初は私も誰か他の人に作って貰いたかったのですが、2002年4月に『絶体絶命都市』を作った後に誰もやらないなら(私が)やろうと。当時もたまにユーザーサポートに「『R-TYPE』の新作やらないんですか?」と問い合わせがあったので、「これ以上作れないなら、作れないと言った方がいいんじゃないか」ということで『R-TYPE FINAL』というその名のズバリというタイトルになりましたし、本当に(今後)シューティングを作ることはないなと思っていましたから。

――ちょうど『R-TYPE FINAL』がリリースされた00年代前半は、STGのゲームメーカーから新作がでなくなってきただけでなく、『ダライアス』や『グラディウス』など大手から往年の人気シリーズが途絶え始めた頃ですもんね。

九条: やっぱりあの辺ですよ。あの辺りが大きな節目でしたね。

――90年代から00年代、そして現在にかけても「シューティングゲーム の衰退」というトピックは多くプレイヤーの間で意見が交わされてきました。前作『R-TYPE FINAL』でシリーズに一度区切りを付けた九条氏は、どんな思いで00年代のSTG界を見ていたのでしょうか?

九条: 私はその「衰退」を感じていましたね。ちょっと否定しようがないなと。弾幕シューティングが00年代には出てきたけれど、実態は明らかに違うジャンルという気持ちもあり。私の視野が狭かったというのもあって、コンソールが中心となった時にもうジャンルとしての役割としては終わったのかなと感じていましたね。

だから、「シューティングが流行らない…」というところについては、作っている側の責任もあるのかも知れないけれど、割と(縮小は)不可避というか「こういうもんなんだろうな」と。この先シューティングにこだわるよりかは、「もっと違う物を作ったほうが良いんじゃないかな」と2000年代前半は思っていましたね。

――自分自身STGが好きなのでシューティング衰退論を認めるのは辛いですね…。シューティングの面白さは、自分でプレイするだけじゃなくギャラリーの1人として誰かの活躍を見守る視点というのがあると思うんですよ(ゲームセンターにおいては、スーパープレイをしている人の周りに人だかりが出来やすかった)。00年代前半は動画サイトもないから、あまりゲームプレイの面白さが外に伝わりにくかったですよね

九条: シューティングゲームの環境として(00年代前半)は面白く無い時期だったのかという気はしますね。2010年代に入って、ハムスターさんから古のシューティングゲームがリリースされて盛り上がりノーミスプレイの映像が配信サイトにアップロードされたり、そういった映像への「すげー!上手い」や「このゲームはこんなゲームだったんだ」とか、「今見たら結構面白そう」とかのコメントをみると、シューティングと環境が噛み合いだした気がします。

――インターネットが発展して、再びゲームプレイ/スーパープレイを不特定多数に対して見せられるようになったのは大きいですよね。

九条: 80年代や90年代以上に、ひょっとしたらシューティングゲームにとって今がチャンスなのかもしれないです。シューティングの魅力が昔よりも出せるインフラや環境が整ったのかも。『FINAL2』を作っていて、『DELTA』や『FINAL』の時のような「シューティングゲームは斜陽だよね」という感じがありませんでしたから。

2000年代前半はまだ作るメーカーさんはそこそこいて他社の動向を気にしていました。今はほぼ無くなってしまっていますが、そういう「斜陽だしな…」というネガティブな気持ちはありませんでしたね。「今出したら今出したで面白いやろ!」という気持ちで作れました。

――先の話に関連して10年代から今現在で言えばタイトーの『ダライアスバースト』がアーケードとPC/コンソールで展開していたり、往年の名作STGがPC/現行機向けに移植が続き、プラチナゲームズから新作『ソルクレスタ』が4月1日に発表されたりと足掻いていましたよね。

九条: そういったなかでは、横STG…シューティングゲームの時代が来たかもしれない(笑)低迷期を経てここで花開くかもしれないですね。

――さらに国内外からインディーズでシューティングが作られたりと別方面からの盛り上がりもありますよね。

九条: それ(インディーズ)が面白そうですよね!実際によくできていて、インディーズゲームに関してシューティングは盛り上がっている。やっぱり普遍的な面白さやわかりやすさがあるんでしょうね。

避けて敵を倒す爽快感という簡潔さが、シューティングの良いところなのかなと思えます。表現はどんどん良くなっているからそういう面では良いんでしょうね。インディーズには本当に面白い横STGが多くあるので、STGはむしろ無くならない気がしてきました。

――ちなみに『FINAL2』の開発を発表するまでの16年間にSTGジャンルの動向は追っていました?

九条:『FINAL』が終わった後に「今後は完全にないな」と思っていたので全然追っていませんでした。『FINAL2』を作りはじめる2~3年前にハムスターさんが昔のゲームを移植されていたのにすら、「こんな古いゲームを買うのかな?」と思っていたので。

ただ、10数年前、グランゼーラを作る前のアイレムにいた頃に、当時のタイトーさんからダライアスの新作を作りたいと思っているから「相談に乗ってくれ!」と言われて協力したことがありました。これは以前何処かで語ったと思うのですが、タイトーのプロデューサーさんが『ダライアス』をもう一度作ろうとした際に、コナミさんも巻き込もうとなり、三社で打ち合わせをしたことがありました。

後にタイトーのプロデューサーは同社を辞めて、私はアイレムを辞めて、コナミのプロデューサーも辞めてしまって計画自体はすべて立ち消えになっちゃいましたけれど、『ダライアスバースト』自体はちゃんとリリースされて良かったですね。当時はもうどこの会社のプロデューサーも「シューティングを社内で承認を取るのは絶望的に難しい」って言っていました。

――2009年にPSPで発売された『ダライアスバースト』に関しては当時リリースされたことについて目を疑いましたね。

九条: あれは当時のプロデューサーさん達の執念だと思います。数年経ってから、発売されることを知った時は「本当に出るんだ」と私も思いました。本当に執念というか情熱に頭が下がりました。※3

※3:これについては2015年に開催されたSTGイベント「トランジション」でピラミッドの柏木准一氏も語っている

――後にリリースされた『ダライアスバースト クロニクルセイバーズ』だと他社STGコラボもやっていたり、近年では過去作も移植していてその勢いは継続的ですよね(2021年には同ピラミッド開発の『アリス・ギア・アイギス』でも『ダライアス』関連コラボを実施

九条: 積極的ですよね。最初に企画の承認を取った人は辞めてしまっていますが、後に引き継がれているので凄いなと思います。そう思ったら、80年代で『グラディウス』や『R-TYPE』が出て、90年代は対戦格闘ゲームに押されながらもコンシューマーとアーケードのコンパチみたいなのがあって、2000年代に家庭用が爆発的に流行ったタイミングで傍流というか影の存在になっていたものが、2010年代や2020年代にインディーズなどの盛り上がりを受けてジャンルとして再度見直される事になったら、それはそれで面白いなと。

――そういうところで言えば、STGを愛する人達がインディーズとして水面下で頑張って作ってきた甲斐があったんですね!

九条: 私はもう、その歴史の中で私が最後にちょろって出てきてやりたいことをやっているだけですね(笑)『ダライアス』のプロデューサーの苦労は泣けますよ。何度も言いますが凄い執念だなと思いましたから。

今も昔も開発コストが変わらないシューティング、VR版『R-TYPE』、『バンピートロット』リメイクの可能性

――今回はUnreal Engine 4での開発ということでしたが、18年前に開発した前作『R-TYPE FINAL』は比べて開発難易度などどのような違いがありました?前作は処理落ちがかなり影響を与えていたので開発が難航したのかな?と思ったのもあります。

九条: 今も処理落ちは結構上手くいかない部分もあります。当時の処理落ちと『FINAL2』で違うのは、速度を遅くするのでなくフレームスキップする作りになっているので、そういう意味では安定しています。ただプラットフォームが複数あるため、性能差という面や、PC版の最小スペックをどこに置くか、高性能のPCではどうなるかを含めて苦労していますね。

開発環境自体は作りやすくなっていると思います。当時はステージのエディターの設計からやっていたものが、今は作り始めたらすぐ取りかかれる。ゲームそのものを作り始めるまでの時間がすごく短くなったので、そういう点では格段に作りやすくなっていると思います。

またゲーム開発では、どちらかと言うと(動作や噛み合わない要素などを)軽くするとか削る工程もあるので、そういう点では作るほうのストレスはだいぶ減ったと思います。前は何かを出力するまでに凄く時間がかかっていたけれど、今はすぐにゲームの骨格は作りやすくなっていますね。

――なるほど。ちなみに様々なツールやハードが発展した2021年において、横スクロールSTGの開発コストはどれぐらいだったのでしょうか?

九条: コストがかかっていたところとかにかからなくなった一方で、逆のところもあるので、ジャンルによると思いますが、横スクロールSTGに関しては、予算そのものは昔とあんまり変わらないかもしれないですね。ただ、当時はちょっと大変すぎたのかなと思いますけれどね。

西村氏: G.Suzukiさんは今と昔どちらのほうが、開発が大変だと思いますか?

――今の汎用ゲームエンジンのUnityやUE4を触って、少しの学習と労力でキャラクターやスクリプトを組み込めるぶん、10年代00年代のゲーム開発ドキュメンタリー本を読む限りPS2時代のゲーム開発のほうが大変そうなイメージがあります

九条: 作りやすくはなっているけれど、作らなきゃいけない物も増えているので(負担は)変わらない気がします。格段に楽になったところと、大変になったところの両方だと思います。

――なるほど、全体的な負担は変わらないのですね。また『FINAL2』において開発チームの推し機体はありますか?

九条: 最初の3機の内の1機R-9Fが強すぎる、と皆に言われていますが、私がそれじゃないとクリア出来ないので自分のために置いてあります(笑)自分は、上下非対称の攻撃をする機体が好きです。だから下にしか撃てないという仕様を書くと、皆に「これ前にレーザーがでないので上の敵とか全然倒せませんけれど!」と、「下にだけ強いとかこういうのが良いんだ」と(笑)ちょっとロマン系の射程が短い機体とか含め、癖のある機体はオススメは出来ないけれど色々作っていて面白いですね。

九条: スタッフでもコレがいいとか、コレの良さが今わかりましたとか。ステージによって相性が良い機体とかあるんですよ。(機体とステージの相性が)ハマると凄くクリアしやすかったと思います。攻略方法が機体によって違うので、それは色々試していただけると面白いかと思います。

――なるほど、スタッフによってバラバラなんですね。自分はビジュアル的にロングバレルのR-9Dシューティングスターが好きです。また2020年代において、シューティングゲームを進化させ再び世に広めていくにはどんな施策が必要だと思いますか?

九条: 世に広めていくというと2種類あるかなと思っています。遊ぶ人ごとの攻略の違いや自機の見た目のカスタマイズ性とか、「人に見せたくなる自分ならではの部分」は世に広めようと思ったら必要だと思いますね。もうひとつが、昔のアーケードゲームに近い「競技性」ですね。純粋に腕を競い合って、それをオーディエンスに見せられる。それこそe-Sportsみたいな形にも意外とシューティングは合っているんじゃないかと。そのどちらかを徹底すると広まるのではないかと思います。

――確かに、競技性と言えばスコアアタックはシューティングの古典的な「競い合う」要素ですよね。

九条: そうですね。勝敗が分かりやすい競技性を構成するという面でも、シューティングゲームというのは今の風潮にとても合っていて相当な可能性のあるジャンルだと思うようになりました。

――ここで少し話が『FINAL2』に戻りますが、出撃演出がかつてPS3で展開されたPS Homeのミニゲーム版『R-TYPE』とよく似ていました。ああいった主観視点でのフライトシューティングもといスペースコンバットシューティングへ将来的に発展することは有り得るのでしょうか?

九条: 実は、社内で去年の秋に、VRの『R-TYPE』を試しに作ったことがあります

優秀なインターンの学生さんが来ていたので、何がやりたいと聞いたら「VR」と答えたため、R-TYPE FINAL 2のコクピットや敵のグラフィックを全部渡して「VRで作ってよ」といったら本当に作られて驚きました。

(機体前方に)フォースを装着したら目の前がフォースしか見えなくなって「こうなるよな」と、ゲームにならないからルールを考えようとしました。自分で作っていないから、好き勝手に「こうしてよ」としたら学生はノリよく取り込んでくれましたね。VRであの輸送艦の中を見渡し発進して進むのを作りました。

西村氏: ゲートが開くところなんかワクワクしましたよ!

九条: せっかく作ったものですし、何かの機会に世に出せないかなとは思っています。世に出すためにはもう少し手を入れる必要がありそうですが。

――スペース/フライトシューティング的なVR版『R-TYPE』は面白そうですね!いつか日の目を見ることを期待したいです!!ちなみに『R-TYPE FINAL 2』発売後はどのような展開を行いたいですか?

九条: 発売後は、2年先までアップデートをやるという目標の下、ステージや機体を増やしたり、2人同時プレイやランキングなど機能の追加などを行っていく予定です。皆様の意見や要望を汲み取りつつ元々やりたいことも入れて、今の時代だから最終的にこんなゲームになったというところまで持っていきたい。コンスタントに話題性があるものを盛り込んでいきたいと思っています。

発売は一つの区切りですが、『FINAL2』の開発が終わったので他のことをしようという感じではないですね。『R-TYPE FINAL 2』の次のコンテンツを考えているという感じです。発売までに2年かかって、発売後も2年は開発を継続するつもりですから、ちょうど現在地は真ん中という感じですね。

――まだお時間があるということなので少し追加の質問をしたいと思います。ズバリ、九条さんの好きなシューティングゲームは何ですか!?

九条: 『イメージファイト』です!

――なるほど!!!『R-TYPE FINAL 2』体験版では自機当たり判定の大きさから『イメージファイト』とよくユーザーから指摘されていましたが、その繋がりなら納得できますね!

九条: いえいえ別にそういったものを狙っていないので、それは調整していけばいいと思うのですけれど。『イメージファイト』に似せようとしているわけでは無いです。当たり判定が大きすぎるところは修正や調整をしてきます。

――なるほど。一方でゲーム実況やプレイ映像の収益化についてはどうお考えでしょうか?

九条: プレイしてくださる方が実況動画などで収益化されることについては良いと思います。今回の『R-TYPE FINAL 2』は大丈夫です。やって欲しいですね。メーカーがR-TYPE FINAL 2の実況動画で収益化を妨げることは基本的にしないようにしようと思っています。最終面だとしても全部映してもらって大丈夫です。

――ありがとうございます。それを聞いて安心する配信者さんが多くいると思います。ちなみに九条さんが関わったタイトルの中で、今の時代に移植やリメイクしてみたい作品はありますか?

九条: 『バンピートロット』かな?『バンピートロット』のリメイクだけでなく、『2』もやれたら面白いでしょうね。私は元々リメイクというのにはあまり興味がないです。古いゲームは古いままで良いと思うので。今ならもっとと思うときはありますけれど、それなら新しいのを作ったほうがいいかなと思う方です。ただ、『バンピートロット』については、叶うことならリメイクと2をセットでやりたい。あと『R-TYPE TACTICS』はリメイクがいいです。(笑) 1と2のリメイク版を作りたいです。

――ありがとうございます!では、最後に発売を待ち焦がれているユーザーに向けてメッセージをお願いします!

九条: いよいよ発売、というか体験版で一部だけは既にお見せしてますけれど、作っている私のほうとしても楽しみにしているので、是非プレイしていただいて「こうして欲しい」という意見とかどんどん言って下さい。先程も言ったとおり、今は中間地点なので、また2年かけて一緒にこの先も『R-TYPE』を作って欲しいと思っています。よろしくお願いします!

――ありがとうございました!


以上が今回のインタビューの内容になります。ちなみに『R-TYPE FINAL 2』への意見はKickstarterやグランゼーラのお問い合わせ、Steamを筆頭としたそれぞれのプラットフォームのフォーラム、Twitter(ハッシュタグ、#rtypefinal2)などで受け付けているとのこと。

いよいよ発売となる『R-TYPE FINAL 2』。今回のインタビューでは、今の時代に展開するコンソール向けのシューティングゲームに対する現代的なアプローチや、これまでファンの間で議論が交わされた「シューティング衰退論」。そして『R-TYPE』の新たなる可能性にまで触れる事が出来ました。

『R-TYPE FINAL 2』はPS4/ニンテンドースイッチ/Xbox One/Xbox Series X版が4月29日に、PC(Steam、EGS、DMM、GOG)版が5月1日より発売中。価格は6,380円(税込)です。

R-TYPE FINAL
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R-TYPE FINAL 2
(c)Granzella Inc.
“R-TYPE” is a trademark and/or copyright of IREM SOFTWARE ENGINEERING INC.


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