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浜村弘一氏によるゲーム業界セミナー“2021年春季 ゲーム産業の現状と展望/ゲームNEXT ~メタバースの正体~”リポート。コロナ禍でゲーム産業はどのような変化を見せたか – ファミ通.com

 2021年4月26日、KADOKAWAデジタルエンタテインメント担当シニアアドバイザーの浜村弘一氏によるWEBセミナー“2021年春季 ゲーム産業の現状と展望/ゲームNEXT ~メタバースの正体~”が開催された。

 これは毎年2回の通例となっているセミナーで、近年のゲーム業界の現状分析を浜村氏が行い、スピーチするというもの。本セミナーで解説・発表された内容をリポートする。

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 新型コロナウイルスの世界的流行によって、ゲームを取り巻く環境が変わってきた。

 浜村氏は冒頭で、「いままで潜在的にあったゲームの可能性が大きく広がった。ほかのエンターテインメントとゲームの境界がほとんどなくなってきていると感じる」と語り、続いて各テーマの分析を発表していった。

ゲームのメタバース化と成長するゲーム産業

 まず浜村氏は、音楽とゲームの新しい結びつきについて解説。単なる楽曲の提供と異なり、ゲームの世界と一体化しているという例が続々と出ていると語った。

 たとえば、『龍が如く』の世界観のなかで湘南乃風がライブを行い話題を集めたほか、『スプラトゥーン』のライブなどはとくに高い人気を博した。

 さらに、『フォートナイト』や『荒野行動』のように、ゲーム画面の中にコンサート会場を作り、ライブを行うというパターンも。これは、新型コロナウイルスの影響により人が実際に集まって行うライブが開催できなくなり、代わりにオンラインでライブを開催するやりかたの一種と言える。

 かつての『セカンドライフ』のような、現実世界とバーチャル世界が融合する現象に似ていると浜村氏は語った。

急拡大した世界のゲーム市場

 2020年の世界ゲームコンテンツ市場規模は、2019年からおそよ30%も成長し、前年より伸び率が大きくなった。

 また、新型コロナウイルスの影響で、オンラインストリーミングを始め、オンラインゲームやeスポーツ観戦といったエンターテインメントへの接触度合いが増えたことにも言及した。

 ゲーム関連会社の売上も大きく伸長。プラットフォームメーカー3社のゲーム関連部門は、前年比を見ても、112~137%の拡大と大きく売上を伸ばしている。

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 主要なソフトメーカーも同様で、各社ともに前年と比べて売上を伸ばした。中でもスクウェア・エニックスは148.6%、コーエーテクモホールディングスは前年比171.9%と大きく躍進した。

 対して、おもにスマートフォン用ゲームを提供しているメーカーを見ると、前年同期よりも売上が下がっているメーカーもあった。

 これはスマートフォンゲームにおいては、ひとつのコンテンツがヒットするか否かによる振れ幅が大きいためだ。新型コロナウイルスの流行による巣ごもりの影響は、コンシューマーゲームタイトルを多く手掛けるメーカーのほうが大きく影響していると浜村氏は分析した。

 また、国内家庭用ゲーム市場を前年度と比較したデータを見ると、その影響が詳しくわかる。

 2019年から2020年には、約36%も市場規模が増加。さらに、浜村氏はハードとソフトに対してオンラインのソフト(ダウンロードソフトなど)の需要がとくに伸びている点に注目すべきだとコメントした。

国内コンシューマーゲーム市場の動向について

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 続いては、国内コンシューマーゲーム市場のプラットフォーム別詳細について。

 Nintendo Switchは売上を前年からさらに伸ばす大躍進を記録。

 プレイステーション5は2020年11月12日に、Xbox Series X|Sは2020年11月10日についに発売を迎えた。両ハードの2021年3月28日までの累計販売数をまとめると、プレイステーション5(デジタル・エディションを含む)は58万台、Xbox Series X|Sは4万台のセールスとなっている。どちらも品薄状態が続いているため、今後の伸びにも期待できそうだ。

 プレイステーション4、Xbox Oneなど旧世代機は新世代機の発売があったため大きく売上が下がったが、その分を新世代機が埋めた形となっている。

ゲームソフトはNintendo Switchタイトルが席巻

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 ゲームソフトについても、Nintendo Switch用タイトルが大きな売上を見せた。それ以外のハードでは減少傾向にあるが、トータルでの販売本数は109.8%と前年より売上を伸ばす結果となった。

 セミナーでは、各ゲームソフト(パッケージ版)の売上のランキングについても触れた。5位に『ファイナルファンタジーVII リメイク』、16位に『ゴースト・オブ・ツシマ』、20位に『バイオハザードRE:3』が入っている以外は、すべてNintendo Switch用タイトルのラインアップに。

 『あつまれ どうぶつの森』については400万本以上を売り上げるなど、記録的なヒットを飛ばしている。

 国内ソフトの売上本数については、任天堂が全売上本数の半分近くを占めており、Nintendo Switchの好調さが見て取れる結果となった。

 Nintendo Switch本体の販売台数は、世界的に見ても好調な売上を記録。新型コロナウイルスによる需要拡大が手伝った形だ。

動画配信サービスの躍進

 続いて浜村氏が紹介したのは、コロナ禍における動画配信サイトの伸び率。動画配信サービスはいずれも好調に推移しているが、とくにゲームをメインに展開するサイトの成長が著しいと語った。巣ごもりによって拡大した人気が数字を作り上げている形だ。

 とくに注目したいのがTwitchだ。YouTubeのゲームカテゴリー、Facebook Gamingなどと比べても伸び幅が大きく、2020年10月には月間視聴時間が過去最高の16億時間という驚異的な数字を記録。これは1年間で2倍近く伸びた結果となっている。

ゲームイベントのオンライン開催も常態化

 新型コロナウイルスの影響もあり、大きく成長したゲーム産業だが、それ以外にも新たな変化が。まず、E3(エレクトロニック・エンターテイメント・エキスポ)、東京ゲームショウなどを中心としたゲームの見本市のオンライン開催が一般化した。2020年はリアル会場での大きなゲーム見本市はほぼ行われなかったが、「オンラインで開催することにより、コストを抑えつつ全世界のユーザーに見てもらえるため、メリットも多い」と浜村氏は語った。

 また、セガがゲームセンター事業から撤退することにも触れた。ユーザーが外に出てゲームを遊ぶということ自体が減ってしまい、家でゲームをする生活様式に変化したためだ。今後もこの状況が続く可能性は高いと浜村氏は予想する。

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任天堂 Nintendo Switchの“2周目”はどういう展開になるのか?

 『あつまれ どうぶつの森』、『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』 、『ポケットモンスター ソード・シールド』、『スプラトゥーン2』など、任天堂が持つ人気IPのソフトはすでにNintendo Switch向けにリリースされているが、これからのNintendo Switchでの展開、いわば“2周目”はどういったものになるのだろうか。

 2020年を振り返ると、まずは『あつまれ どうぶつの森』のヒットを中心に増益を記録。そのほかに注目したいのが世界的なデジタル販売の増加だ。これまではパッケージでの販売が中心だったが、ダウンロードソフトの売上が現在は前年の2倍以上となっている。

 日本におけるNintendo Switch本体の累計販売台数については、1900万台を超え、2000万台への突入はほぼ確実となっている。

 ゲームソフトの売上本数については、外で人と会いづらいという状況が続く中、インターネットを通じてプレイしたり、交流できるソフトが大きく前進。

 『あつまれ どうぶつの森』は、2021年3月28日までの国内パッケージ版の累計販売本数が670万本以上となる驚異的なセールスを記録。

 オンライン対戦が実装された『桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~』も200万本以上を売り上げた。

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 注目すべきポイントは、SNSを通じた情報の拡散によって大きくセールスを伸ばした点。『あつまれ どうぶつの森』は、SNSでユーザーが主導となる情報拡散がたびたび起こり、それが売上につながったと浜村氏は語る。

 『桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~』も同様で、これまでは50万本ほどを売り上げることの多いシリーズだったが、本作は200万本以上を販売。これには、前作までは少なかった“ゲーム実況動画”の投稿が増え拡散されたことで、認知度と人気が高まったことが大きな要因として考えられると話した。

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 さらに、インディーゲームである『天穂のサクナヒメ』はTwitterを中心に話題が連鎖し、国内だけで約50万本も売り上げるスマッシュヒットを記録。

 継続的な話題作りの一環として、エキスパンション・パスの存在も重要。ゲームの発売日以降に追加コンテンツを出すことによって継続的な話題を作る戦略だ。『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』は発売後2年経つのにも関わらず、新キャラクターを続々と追加することで新作のような話題作りに成功している。

 収益面の貢献はもちろんだが、話題作りや人気が衰えない仕組みとして今後も活躍が予想される。

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既存IPの新作でNintendo Switchが長寿化

 浜村氏は今後の注目タイトルとして『Pokémon UNITE(ポケモン ユナイト)』を挙げた。本作は『リーグ・オブ・レジェンド』(『LoL』)のようなチーム戦を行う、いわゆる“MOBA”と呼ばれるジャンルのゲームで、Nintendo Switchとスマートフォンのクロスプラットフォームで展開予定。

 『フォートナイト』はスマートフォンでも展開されていたが、ユーザーがプレイステーション4でプレイしたところこちらのほうが操作しやすいということで、どんどんプレイヤーがプレイステーション4に流入したという現象が起っている。

 これと同じ現象が『Pokémon UNITE』でも起こり、Nintendo Switchの売上に貢献しそうだ。

 さらに、『スプラトゥーン3』、『ポケモンレジェンズ アルセウス』、『ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール』の発売も予定されており、これらのヒット作のおかげでNintendo Switchの長寿化は確実なものになってくると浜村氏は予想した。

ソニーグループ PS5の立ち上がりは順調なのか?

 2020年11月12日に発売されたプレイステーション5。市場の需要は高く品薄状態が続いており、日本国内では58万台を販売。ワールドワイドでは450万台を売り上げた。

 プレイステーション3、プレイステーション4と比べて、当初の数値は低く推移していたが、継続的に販売を続け、2021年3月の段階(発売から20週時点の比較)ではプレイステーション4に迫る販売台数となっている。

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 対するソフトはというと、もっとも売れた『スパイダーマン:マイルズ・モラレス』で約4.6万本の売上。これだけ見るとソフトの装着率が低く見えるが、プレイステーション5はプレイステーション4のソフトがほぼすべてプレイでき、読み込みなども早くなる機能が備わっている。現在のプレイステーション5は、“プレイステーション4のソフトを快適にプレイするためのハード”という傾向が強いようだ。

 ハードの切り換えでリセットされるのではなく、バージョンアップされるような形で、プレイステーション5が発売された後もプレイステーション4のタイトルは売れるだろうと浜村氏は語った。

 プレイステーション5では、ソフトの充実だけでなく、ユーザーどうしのコミュニティーの育成にも注力している。プレイステーション5ではメインメニューを刷新しており、ゲームプレイ中に他のゲームやユーザーコミュニティーとつながっていく新機能を搭載。

 これまでは、ゲームについての情報は自分で探しに行く必要があったが、プレイステーション5ではハード側がそれをサポートしてくれる仕組みが備わっている。ハードがユーザーのコミュニティーへの参加を促してくれる形だ。

 また、米ソニー・インタラクティブエンタテインメントは、2020年9月に“ゲームスペースにおけるユーザー情報の配置”と名づけた特許を申請。これはユーザーがゲーム中に自由に文字情報などを書き込んで配置することが可能な仕組みで、ユーザーどうしが隠し要素や攻略情報を伝えることができるようになることが想定される。ゲーム自体をユーザーどうしが交流できる場にしてしまうという戦略だ。

マイクロソフト 現時点で“ゲームのNetflix”の最有力候補

 Xbox Series X|Sは2020年11月10日に発売。ふたつの価格帯で性能差の異なるハードを発売したことで注目を集めた。

 だが、マイクロソフトは、ハードをゲーム機ではなくプラットフォームの構成要素だと考えている。マイクロソフトのフィル・スペンサー氏はインタビューにおいて、Xbox Game Passのクラウドゲームに対応した、テレビ用のUSBスティック型端末の構想があることを示唆するコメントをした。

 新しいハードを出したもののそれにこだわることなく、マイクロソフトのプラットフォームはオンライン上のサービスにあり、ゲーム機でもPCでもスマートフォンでも自分たちのサービスを楽しんでほしいと考えているのではと浜村氏はコメントする。

 また、XboxのサブスクリプションサービスであるXbox Game Passは有料会員が1800万人を突破したと報告しており、非常に好調なペースで会員が増えている状況だ。

そのほかのプラットフォーム

 そのほかのプラットフォームについては、Steamがゲーム販売本数やユーザー数が過去最高を更新したと発表。また、URLひとつで自身が所有するゲームに誰でも招待できるRemote Play Together機能を強化。PCだけでなくスマートフォンでもプレイでき、Xboxと同じ取り組みに変わってきている。

 GoogleのStadiaは、無料プランでユーザーを増やす努力をしているが、Stadia向けに立ち上げたスタジオを閉鎖するといった悪いニュースも。

 Amazon Lunaは、2020年10月からアメリカで、月額6ドルで50タイトルにアクセスできるサービスを試験的にスタート。さらに、こちらも試験的に一部のAndroid向けの端末にクラウドサービスの提供をスタートした。試行錯誤しながらゲームのコンテンツを作り上げていく形だ。

 AppleのApple Arcadeは、『ファイナルファンタジー』シリーズの生みの親である坂口 博信氏が手掛ける『FANTASIAN(ファンタジアン)』がついにリリースを迎え、話題を集めた。ほかにも、2021年4月2日にリニューアルが施され、ふたつのカテゴリーと30本以上のタイトルが追加。そのなかには『太鼓の達人』など日本向けのタイトルも多く含まれている。

eスポーツ コロナの影響を受けるも、成長へ向けて再加速

 世界のeスポーツの収益については、新型コロナウイルスの影響だと思われるが、2019年から2020年にかけてはわずかに数字が下がってしまった。

 リアルな大会が開催できないため、大会チケットの売上や協賛スポンサーからの提供が得られなかった形だ。

 2021年としては、大会の実施数が戻ってくることが予想されるため、スポンサーからの提供を中心に収益が伸びると予測した。ファンの数も2019年から増加傾向にあり、以前の予測よりも若干落ち着いた数字になっているが、それでも堅調な成長が予測されている。

 日本のeスポーツ市場は、新型コロナウイルスの影響で直近の予測数値が若干下がっているが、それでも2024年には2020年の約3倍まで成長すると予想。2020年の市場の内訳としては、67.3%がスポンサーシップと大きな割合を占めた。

 eスポーツの観戦者数は増加の一歩を辿り、2024年には2020年の1.8倍となる予想。eスポーツ後進国と言われる日本だが、その分伸び代が大きいと浜村氏は語る。

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 新型コロナウイルスの影響により、なかなかオフラインでの大会が行えない状況だが、オンラインを中心にさまざまな興行大会が続々と実施。NTTドコモが賞金総額3億円のイベントを実施するほか、『フォートナイト』は賞金総額2000万ドルの大型の大会を発表した。

 また、IOC(国際オリンピック委員会)は、2025年をめどに達成を目指す五輪改革の新方針として、“身体運動を伴いながらオンラインで競うバーチャルスポーツ”を競技に追加することを検討していると発表。これを含む15項目の提言が、2021年3月のIOC総会にて承認を得た。

 オリンピックの価値向上と、若者との直接的なつながりを強化する戦略だ。

 日本eスポーツ界では今後の取り組みとして、高校選手権、大学選手権、国体文化プログラム、社会人リーグなどを開催し、学校や企業における部活動を促進させ、選手人口と産業規模の拡大が目指されると語る。加えて、五輪などの歴史あるスポーツ大会でeスポーツが採用されることにより、eスポーツの社会的知名度が上がり、選手のステータスも上昇すると予想した。

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まとめ

 冒頭で公開した『フォートナイト』や『荒野行動』のゲーム内で行われたアーティストのライブのように、ゲームはゲームだけで完結せず、ほかのエンターテインメントと結びつく動きが出始めている。また、ゲームを通じてコミュニケーションを楽しんだり、ゲーム内でコンサートなどを楽しんだりする“メタバース(仮想世界)”化が進んでいる。

 そこで生まれたユーザーコミュニティーは、ゲーム内に留まらず、人気のゲーム実況者、eスポーツプレイヤーなどを中心にその影響力をさらに大きく発揮し出しているのだ。

 ゲームをメタバース化したものの正体とは、“膨大に膨れ上がったオンライン上のユーザーコミュニティーである”と、浜村氏は語った。

 この現象により、ゲームを取り巻く環境も大きな変革が現れている。これまでのゲームプラットフォームの最終目的は、クオリティーの高いキラータイトルの獲得が第一条件だった。しかし、このメタバース化により、プラットフォームは、キラータイトルだけでなくコミュニティーの獲得も重要となっている。

 今後のプラットフォーマーとしては、キラータイトルを集めるだけでなく、ユーザーを直接コミュニティーにつなげる努力が必要になってくる。場合によってはライバルとなるクラウドゲームや動画サイトも味方につけながら、ID(プレイヤー)を集める工夫も重要だと浜村氏は語り、スピーチのまとめとした。

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