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ゲームエンジン・Unityの開発元がプライバシーや広告について語る – GIGAZINE



Unityといえば、ポケモンGOをはじめとするモバイルゲームやPCゲームなどで採用されているゲームエンジンです。その開発元であるUnity TechnologiesCFOを務めるキム・ジャバル氏が、テクノロジーメディア・VentureBeatのインタビューに答えています。

Unity CFO Kim Jabal interview: Understanding the tradeoff between market share and profits | VentureBeat
https://venturebeat.com/2021/02/14/unity-cfo-kim-jabal-interview-understanding-the-tradeoff-between-market-share-and-profits/

Unity Technologiesが2020年第4四半期(10~12月)の決算を発表し、同期における売上が前年同期比で39%増の2億2030万ドル(約230億円)に達したことを報告しました。ただし、同社は同期に営業損失を8080万ドル(約85億円)も出しており、その額は前年同期の4860万ドル(約51億円)から倍増しています。

しかし、Unity Technologiesにとって多額の営業損失はそれほど大きな問題ではありません。その理由は、Unityがモバイルゲームの半分以上で使用されているため、競合ゲームエンジンのCocos2dUnreal Engineと比べて市場シェアで圧倒的にリードしているためです。近年、Unityは利益よりも市場シェアを重視する戦略をとっており、この戦略は記事作成時点までは成功しているとVentureBeatは指摘しています。


2020年のゲーム業界に大きな影響を与えた2大トピックスのひとつが、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」です。COVID-19のパンデミックによりPCゲームプラットフォームのSteamは同時接続者数が2600万人を突破し、ゲーム系ライブストリーミングの総視聴時間は1カ月で50%近くも急増2020年3月のデジタルゲーム市場の月間売上は100億ドル(1兆800億円)を突破しました。このような追い風もあり、2020年におけるUnity Technologiesの売上成長率も、当初の予想を超えたものとなったそうです。

2020年のゲーム業界に大きな影響を与えたもうひとつのトピックスが、「広告識別子IDFAの取得をユーザーの許可制に変更するというAppleの決定」です。AppleがIDFAの取得をユーザーの許可制に変更したことで、モバイルアプリケーション市場には大きな影響が出ると予想されています。実際、Facebookは「iOS 14のプライバシーポリシー改訂でターゲット広告が難しくなり広告収入が激減する」「(Appleによる広告トラッキングに関する仕様変更が)パーソナライズされた広告を制限することとなり、これは我々のような大企業にも影響しますが、小規模ビジネスには壊滅的な影響を与えることとなります」などと主張し、Appleが一方的にIDFAに関する仕様を変更することを非難しました。

「Appleの広告トラッキングに関する仕様変更は小規模ビジネスに壊滅的な影響を与える」と主張するFacebookにティム・クックCEOが返答 – GIGAZINE


IDFAに関する仕様変更はモバイル広告市場に3000万ドル(約32億円)もの影響を及ぼすと推定されており、Unityを用いたモバイルゲームアプリの多くもこのIDFAを主な収入源としているため、仕様変更はUnity Technologiesにとっても大きな問題となるはずです。

ただし、Unity TechnologiesはGDPRの施行によりターゲット広告をユーザーの許可制に変更せざるを得なくなるという事態を経験しています。また、iOSアプリ経由の広告収入は、モバイルアプリ全体の広告収入における半分以下しか占めていないことを挙げ、「IDFAに関する仕様変更が及ぼす影響をある程度予測することができる」とジャバルCFOは主張。また、Unityはすでに何年も前から「IDFAに依存しないターゲット広告を行うためのプラットフォーム」を持っているともしています。

さらに、Unityで開発されたモバイルアプリ、あるいはUnityによって収益化されたモバイルアプリのダウンロード数は月に50億回を記録しているとして、この規模は広告分野における競合他社とは大きく異なるものであり、「中長期的にはかなりの広告シェアを獲得できるようになると考えています」とジャバルCFOは今後の展望について語っています。

これらの要素を挙げ、ジャバルCFOは2021年におけるUnity Technologiesの売上成長率が30%程度になると予測しています。


ジャバルCFOはUnity Technologiesの「広告分野における競合他社」として、GoogleやFacebookといった企業を挙げています。FacebookはIDFAに関する仕様変更に伴い、Audience Networkを完全に廃止する可能性があると発表しました。これについてジャバルCFOは、「Facebookはたくさんのリソースを持っています。彼らはそのすべてのビジネスをあきらめるわけではありません。しかし、FacebookがAudience Networkを廃止するかもしれないと発表したという事実は、彼らが我々ほど良いポジションにいないことを示唆しています」と述べました。

また、Unity Technologiesはモバイルとゲームに完全に焦点を合わせているため、ユーザーのプライバシーを尊重しながらターゲット広告を掲載することができる点をアピール。具体的には、ユーザーの個人情報を収集しないまま、「ユーザーのプレイしたゲームの種類、ゲーム内でのユーザーの行動」などをベースにターゲット広告を打つことができるとしています。


プライバシーの重視が叫ばれる昨今の情勢について、ジャバルCFOは「このような状況であっても広告主は出費を減らすつもりはないようです」と語り、ターゲット広告に関する規制が強まる中でも広告の出稿が減っているわけではないと強調。

また、「Unityの収益化に関する方法は、広告がその大部分を占めています。収益を改善するためのアイデアなどはありますか?」という質問に対して、ジャバルCFOは「収益化の中で、我々は常にアルゴリズムと顧客に価値を提供する方法を改善しています。我々は『ゲーム成長プログラム』を発表しており、これはゲーム内の採用パターンと使用パターンに基づき、どのタイプのゲームが成功する可能性が高いかを早い段階から判断できるというデータ活用事例です。このプログラムを用いて小規模なゲーム開発者の成功を支援しています。また、ゲーム成長プログラム以外にもこの種の収益化に関する革新が多く存在します」と語り、収益を改善していくための複数の施策を同時に進めていることをアピールしました。

他にも、Unity Technologiesは運用ソリューション内でホスティングを行っていたり、オーケストレーション製品や音声サービス、分析ツールなどを提供していたりと、プラットフォームの成長にも注力しているとしています。記事作成時点ではすべての運用ソリューションは主にゲームをメインとしていますが、「ゲーム以外にも多くの機会がある」とジャバルCFOは主張。実際、Unity Technologiesはオンライン製品販売やカーコンフィギュレーターなどでリアルタイム3Dレンダリングに使用できる「Forma」という製品も発表しています。これはクラウドでホストされる必要があるため、Unity Technologiesが提供するホスティングサービスやオーケストレーション製品などの、他サービスの機会創出にもつながるとのことです。

Unity Forma: Reimagine marketing with real-time 3D | Unity – YouTube

ゲームが複数のプラットフォームをまたがってリリースされるようになることは、ユーザーにとっては素晴らしいことです。しかし、プラットフォームを運営する側にとっては利益にならないこともあります。この問題について、ジャバルCFOは「我々の焦点は主に開発者側にあり、エンドユーザー側にはありません。消費者側にあるクリエイターの機会については考え始めていますが、我々の主な焦点はやはりクリエイター、つまりは興味深いコンテンツを作成する側の人々です。一つのプラットフォームのみにゲームを開発する開発者は多くありません。PCやコンソールでさえ、様々なプラットフォームでゲームがプレイできるようになることを望む要望が多くあります。これにより、モバイルとコンソールのプレイヤー同士が遊ぶことが可能になります。この傾向がなくなるとは想像できません。プラットフォームを提供する側のGoogleやApple、Xboxなどは、いずれもマルチプラットフォームの時代が到来したことを認めていると思います」と述べました。

「Unity Technologiesは初期のFacebookと類似していると思いますか?」という問いに対して、ジャバルCFOは「私はGoogleに8年間在籍していたので、Googleと類似していると思います。非常に似ており、それこそが私がこの会社へやってきた理由のひとつです。Unity Technologiesはテクノロジー主導の会社で、イノベーションが最も重要です。これは従業員を引き付け、企業を働きやすい場所とし、従業員に革新的であることを奨励するという素晴らしい文化です。これはどんなビジネスの中核でもあります。時代と共に革新し、変化することができるという点が、Googleとの大きな類似点であると思います」と語りました。

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