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DIGIDAYガイド: Z世代 の「 メディア消費習慣 」知っておくべきすべてのこと(DIGIDAY[日本版])

Z世代は10年以上にわたってインターネットの重要な部分を占め、勢力を拡大していたにもかかわらず、多くのメディア企業、ブランドにとってはいまだに「謎の存在」だ。この世代の影響力は強いが、誤解されることもある。2021年に入ってからも、Z世代がTikTokで組織化し、ゲームストップ(GameStop)の株価を1週間で8000%上昇させるという大規模なクーデターを成功させている。

現在、Z世代がビジネス戦略のターゲットになっているかどうかにかかわらず、この世代と前向きな関係を持ち、ブランドアフィニティの構築を今から始めておくことは、ブランドや出版物を10年後、20年後まで存続させるために重要なことだ。

このガイドでは、新旧のパブリッシャー、マーケター、ストラテジスト、Z世代のTikTokクリエイターへのインタビューをもとに、Z世代のメディア消費習慣を包括的に見ていきたい。この世代に関する調査結果やデータに加え、DIGIDAYの記事へのリンクもガイド全体にちりばめている。

目次

01 Z世代:「驚くほど意識が高く」、「はるかに批判的な」世代
02 Z世代とは?
03 Z世代についてパブリッシャーが知っておくべきこと
04 Z世代についてマーケターが知っておくべきこと
05 Z世代の心の内

01
Z世代:「驚くほど意識が高く」、「はるかに批判的な」世代

Z世代は9~24歳と定義されており、興味の対象は非常に幅広い。既存のメディアブランドは若いオーディエンスと彼らより上の世代の両方に有効なコンテンツや成長戦略を見つけようとしているが、利用するメディアから関わるプラットフォーム、好むコンテンツの種類まで、両者のメディア消費習慣は大きく異なっている。

また、伝統的な広告枠(印刷物のキャンペーン、スーパーボウルのCMなど)や旧来のデジタルキャンペーン(バナー広告、プレロール動画など)に頼ってきた消費者向けブランドは、広告に囲まれて育ち、鋭い感覚で本物を見極めるZ世代にリーチするための最善の方法を考える必要がある。

その理由のひとつとして、この世代は自分が何を信じているかをオンラインで率直に語り、ブランドとパブリッシャーの両方に対し、適切なプラットフォームを利用するだけでなく、急速に変化し次々とトレンドが生まれるインターネット文化の一部になるよう求めることが挙げられる。老舗企業にとっては、これは必ずしも実行しやすい戦略ではない。特に、TikTokのような新興プラットフォームでソーシャルメディアプレゼンスを構築し始めたばかりの老舗企業にとってはだ。

オムニコム(Omnicom)傘下のテクノロジー主導型カルチャーコンサルティング企業スパークス&ハニー(sparks & honey)でジュニアカルチャーストラテジストを務めるクリスチャン・ケノリー氏は「デジタルネイティブであるZ世代の特徴は、驚くほど意識が高く、しかもほかの世代よりはるかに批判的なことだ。彼らは最大限に楽しむことのできるコンテンツを期待している」と話す。ダンスのトレンドをつくることがTikTok戦略のすべてであるブランドは、このオーディエンスに名指しされて笑いの種になるとケノリー氏は断言する。「ブランドの失敗だけでなく、特定の業界や組織が完全に切り離されて的外れなことをしている状況をテーマにしたミーム文化が存在する」。

Z世代向けのデジタルパブリッシャーや若い消費者をターゲットにしたブランドはソーシャルメディアをコンテンツ、配信戦略の中心に据えている。グループ・ナイン(Group Nine)、Yahooのイン・ザ・ノウ(In the Know)、オーバータイム(Overtime)といったパブリッシャーはソーシャルメディアでのブランド構築を優先し、その後、あるいは同時進行で、自前のプラットフォームを構築している。ワシントン・ポスト(The Washington Post)をはじめとする既存の新聞社は未来の購読者でファネルを埋めるため、新興プラットフォームを抜け目なく取り入れている。

一方、マーケターは広告やインフルエンサーマーケティングに関して言えば、Z世代は何より信頼性と透明性を重視していると見ている。高級ファッション誌の広告や映像が加工されたCMは、この世代が大切にしている精神とは合わない。

Z世代はオンラインだけで生きているわけではなく、ほかのメディアに繰り出すこともあるが、文化的な会話に参加せず、何らかの運動や倫理的なビジネスへの支持を表明しないパブリッシャー、マーケター、ブランドはこの層とブランドアフィニティを築くことができず、最悪の場合、利用をキャンセルされてしまうリスクがある。

02
Z世代とは?

年齢:9~24歳。ピュー研究所(Pew Research Center)によれば、1997~2012年生まれ。

ジレニアル世代:ミレニアル世代とZ世代を分ける年についてはかなり意見が割れているため、1990年代前半に生まれたミレニアル世代の層や後半に生まれたZ世代の層とは違う1994~1996年生まれの20代を表す第3のカテゴリー「ジレニアル」がつくられた。

41%:米国に暮らす18~29歳の成人(若いミレニアル世代と2002年以前に生まれたZ世代)のうち、政治関連のニュースを主にソーシャルメディアから得ていると回答した人の割合。ピュー研究所が1万2000人以上を対象に2019年11月から2020年12月にかけて順次実施した調査より。

30%:米国に暮らす18~29歳の成人のうち、政治、選挙関連のニュースをニュースサイト、アプリから得ている人の割合。ピュー研究所の調査より。

57%:朝起きてまずニュースに接するのはメッセージングアプリを含むソーシャルメディアプラットフォームだと回答したZ世代の割合。Z世代のニュース消費をテーマにしたロイター・ジャーナリズム研究所(Reuters Institute for the Study of Journalism)の2019年の調査より。

2倍:Z世代は45歳以上の世代の2倍もスマートフォンに依存しているが、その時間の大部分はごく少数のアプリに使われている。ロイター・ジャーナリズム研究所の調査より。

トップ5:Z世代がよく使う数少ないアプリは、トップがインスタグラム、2位以下はWhatsApp(ワッツアップ)、Snapchat、YouTube、TikTok。トップ25にニュースアプリは含まれていない。ロイター・ジャーナリズム研究所の調査より。

03
Z世代についてパブリッシャーが知っておくべきこと

Z世代が主なオーディエンスであるパブリッシャーとZ世代と年上の読者がいるパブリッシャーは、Z世代にまずブランドを紹介するには動画が不可欠だと気付いている。

ストリーミングとソーシャルの情報を提供するコンビバ(Conviva)の戦略担当バイスプレジデント、ニック・シセロ氏は「Z世代のユニークな点は、ミレニアル世代がソーシャルメディアで育ったのに対し、Z世代は動画に重点を置いたソーシャルメディアで育ったことだ」と話す。しかし、Z世代のメディア出版物に対する認識やプロパティとのつながりを築く方法は「ブランドのロゴからブランドを構成する人々へとシフト」している。

全米規模のニュースパブリッシャーであるワシントン・ポストのマネージングエディター、キャット・ダウンズ・マルダー氏によれば、デジタルオーディエンスの約4分の1が、同社が現在強化中の19~35歳の年齢層だという。

ワシントン・ポストはTikTokでパーソナリティ主導のアプローチをとり、パンデミックの初期にこのオーディエンスをいくらか獲得した。2019年からTikTokのコンテンツを制作していた動画プロデューサーのデイブ・ヨルゲンソン氏が、パンデミック中に自宅から動画を投稿し、「かっこ悪い男(uncool guy)」から親しみの湧くニュース、政治コンテンツの疑似インフルエンサーへと変身を遂げた。1分間の動画はTikTokのためだけに制作されたもので、情報提供とコメディの両方に重点を置いている。TikTokページのフォロワー数は100万人に近づいており、すべての動画を合わせて4000万の「いいね」が付いている。

ヨルゲンソン氏が動画のなかでトライアル期間の割引料金を繰り返すなど、ワシントン・ポストはTikTokでサブスクリプション製品の宣伝を行っているが、ワシントン・ポストのソーシャルコンテンツを見つけたすべてのZ世代を購読者にするつもりはないとマルダー氏は述べている。

「ファネル下部の読者売上を重視する我々にとって、ロイヤルティは極めて重要だ。しかし、ロイヤルティにまで到達するには、まずファネル上部の関係構築から始めなければならない」とマルダー氏は話す。「我々が行っていることの多くは、人々にワシントン・ポストを知ってもらい、親近感を抱かせ、最終的に我々のブランドを信頼してもらうことだ」。マルダー氏はTikTok経由で獲得した購読者の数を明らかにしていない。

デジタルパブリッシャーのグループ・ナインはこの10年間に構築、買収したスリリスト(Thrillist)、ドードー(Dodo)、ナウディス(NowThis)、シーカー(Seeker)、ポップシュガー(PopSugar)という5つのブランドを有しており、中心的な成長戦略としてソーシャルメディアに重点を置いている。成長担当エグゼクティブバイスプレジデントのノア・キール氏によれば、同社にとってZ世代は決して唯一のオーディエンスではないが、若いインターネットユーザーの心のなかには、それぞれのプラットフォームにそれぞれの目的があるということを認識する戦略が、Z世代のオーディエンスを強化する助けになっているという。

TikTokとSnapchatは、グループ・ナインがZ世代にリーチするために力を入れているプラットフォームだ。グループ・ナインはこの2つのプラットフォームと協力し、短時間で視聴できる「ひとくちサイズ」の動画フォーマットのオリジナルコンテンツや番組を制作しており、Z世代にアピールできているとキール氏は説明する。

バラエティ(Variety)によれば、2020年には4億人以上がSnapchatで番組を視聴しており、そのなかには米国のZ世代の90%以上が含まれているという。その結果、有名人やコンテンツ制作者、パブリッシャーとのオリジナルコンテンツ契約が増加した。

ロイター・ジャーナリズム研究所の上席研究員であるニック・ニューマン氏は「『すべてを動画にすれば若者が集まる』というのは単純すぎるが、動画はZ世代にとって極めて重要な娯楽メディアだ」と話す。ただし、ニュース速報や重要な情報に関しては、スピードとコントロールを理由にテキストが好まれるため、あるテーマのキュレートされた情報を素早く伝える場合、Twitterのようなプラットフォームが活用されているとニューマン氏は補足する。

イン・ザ・ノウは若いオーディエンス向けのエバーグリーンな動画コンテンツをヤフーのサイトやチャンネルで配信するためにつくられたパブリッシャーで、2017年の立ち上げ以来、Z世代から絶大な支持を得ている。その結果、2020年2月に独自サイト「InTheKnow.com」を開設することになり、コムスコア(Comscore)によれば、3月には月間ユニークビジター数2500万人を達成した。旧ベライゾン・メディア(Verizon Media)で全世界のコマースを統括するアンドレア・ワッサーマン氏は、モバイルプラットフォーム経由で獲得したオーディエンスが4分の3以上を占めており、前年比900%の成長率を記録していると話す。ただし、正確な数字は不明だ。

ワッサーマン氏によれば、イン・ザ・ノウがつくられた理由のひとつは、Z世代に受け入れられるコマースコンテンツを検証することだったという。イン・ザ・ノウは2019年、アフィリエイトリンクを導入し、強化。編集スタッフによるデモ、試用、商品レビューを含むショッパブル動画を制作し、視聴中に購入できるようにした。総流通額(GMV)は過去1年間に125%増加したとワッサーマン氏は述べている。

ソーシャルメディアでの成長については、ソーシャル動画がコンテンツ配信戦略の重要な要素となっているため、インスタグラム、Snapchat、さらにはFacebookなどのプラットフォームが多くの視聴者を引き寄せているとワッサーマン氏は説明する。ワッサーマン氏によれば、Snapchatの1つの動画で13~24歳のユーザーから100万超のユニークビューを集めることが可能だという。

オーディエンスの成長に関して言えば、オーバータイムの「主な収入源」は2016年の立ち上げから変わらず、さまざまなソーシャルメディアプラットフォームにまたがる配信コンテンツ戦略だとCROのリッチ・カラッチ氏は話す。「率直に言って、それはこれからも変わらないと思う。今後も我々の成長と発展に不可欠な要素であり続けるだろう。その大きな理由は、Z世代とミレニアル世代に関連することだからだ」。

デジタル動画スポーツパブリッシャーのオーバータイムは2019年3月にTikTokに参入。メインアカウントのフォロワー数は1660万人に達しており、これまでに投稿した2000以上の動画は合わせて10億超の「いいね」を獲得している。インスタグラムのフォロワー数は500万人だ。Snapchatでは、12シーズン目を迎えた番組オーバータイム・ナウ(Overtime Now)に300万人近くが登録している。

「我々の成功はある程度、Snapchatの成長あるいはGoogleの成功のおかげでもある。しかし同時に、TikTokでは自力でチャンスを生み出すことができている」。カラッチ氏によれば、オーバータイムはTikTokでスポーツブランド最大級のフォロワーをオーガニックに増やすことができているという。それでも、広告主からの収入を多様化するため、オーバータイムは2020年、コンテンツ重視のO&O(owned & operated)プロパティであるアプリを開発した。カラッチ氏は筋金入りのファンのためのアプリだと説明したが、ユーザー数には言及しなかった。

Z世代の「消費行動が彼らをこれらのプラットフォームに向かわせ、デジタルな日課をつくり出している。そのデジタルな日課こそが、我々が存在したいと思っている場所だ」とカラッチ氏は話す。すでにいくつものプラットフォームでオーバータイムをフォローしている熱心なファンにとって、アプリはより直接的にブランドとつながることができる最高の場所であり、熱心なファンがスマートフォンで定期的に訪れる場所になってほしいという期待が込められている。

もし3~4年前にアプリをリリースしていたら、これほどの成功はなかっただろうとカラッチ氏は述べている。日課につながるような関係は、多くのプロフィールやブランドが存在するプラットフォームで紹介されたばかりのときは、構築するのにもっと時間がかかる。しかし、立ち上げから4年が経過し、オーバータイムはソーシャルメディアでオーディエンスを見つけ出し、それをアプリのフォロワーに変えることができている。

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TikTokにおける、パブリッシャーの「成長戦略」とは?:BDGの事例

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04
Z世代についてマーケターが知っておくべきこと

Z世代がソーシャルメディア、特にTikTok、インスタグラム、Snapchat、Twitterで多くの時間を費やしていることは、もはや驚くべきことではない。だからこそ、ソーシャルキャンペーンとインフルエンサーマーケティングは、この世代に商品やブランド、サービスを売り込むためのもっとも強力な方法のうちのふたつと言える。

ケノリー氏によると、Z世代の広告の受け止め方で注目すべき点は、彼らがディスプレイ広告に目を向けないように生まれついているところだという。「これまで(の世代の人々)とは違って、あまりに多くの広告やPRにさらされており、ウェブページをスクロールしているときには広告の存在を認識していない」という。

グループ・ナインのキール氏は、「Z世代のオーディエンスはこれらのプラットフォームで育ってきたので、ここでマーケティングの対象者になることに慣れている。プロダクトプレイスメントがあることを理解しているし、インスタグラムで物を買ったり、「開封動画」やライブ動画を見て買うことにも慣れている。彼らはより自然にこの世界に適応している」と話す。

広告主やマーケターにとって自然な流れは、広告スポットをできるだけシームレスに日常生活に溶け込ませることだ、とケノリー氏は付け加え、そのためにはインフルエンサーが有力な手段であると指摘する。また、数年前はマーケティング予算をプログラマティック広告に投入していたが、今後はインフルエンサーマーケティングが新しいプログラマティック広告になる可能性が高い、と話す。

しかし、インフルエンサーマーケティングで重要なのは信憑性だ。というのも、Z世代の人々は、ウェブサイト上の広告をすぐに見分けることができるのと同様に、インスタグラムのストーリー内のプロダクトプレイスメントを見抜いたり、YouTubeやTikTokでのスポンサー付き投稿が台本通りであることを見抜いたりできるからだ。インフルエンサーやコンテンツ制作者らは、自身のパーソナリティや好きなこと、情熱に基づいて巨大なフォロワーを構築しており、彼らの典型的なコンテンツに合わないブランドとの契約は、不誠実な印象を与えてしまう。

ケノリー氏は、インフルエンサーと共同で広告を制作する際に不自然さを避けるためには、彼らに主導権を与え、製品やブランドについて好きなように語ってもらうのが一番だという。「ブランドは、代弁者としてではなく、ブランドとしてのインフルエンサーにアプローチすることを始めなければならない。インフルエンサー自身がブランドなのだ。そして、これはパートナーシップだ」と彼らは語っている。

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