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「図書館等での権利制限規定デジタル・ネットワーク対応検討の解説」「BooksPRO、図書館対応へ」など、週刊ニュースまとめ&コラム #448(2020年11月8日~14日) | HON.jp News Blog

週刊ニュースまとめ&コラム
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《この記事は約 15 分で読めます》

 2020年11月8日~14日は「図書館等での権利制限規定デジタル・ネットワーク対応検討の解説」「BooksPRO、図書館対応へ」などが話題に。広い意味での出版に関連する最新ニュースから編集長 鷹野が気になるものをピックアップし、独自の視点でコメントしてあります。

国内

Webサイトのデータ転送量のうち平均44%は「広告」〈ITmedia ビジネスオンライン(2020年11月9日)〉★

 角川アスキー総合研究所による「スマホでのコンテンツ視聴に占める広告の比率調査」の結果。広告ブロックツールを使った場合と使っていない場合のデータ転送量を比較し、その差を広告によるものとして推計しています。データ転送量のうち44%が広告とのことですが、なかでも動画広告の占める割合が非常に高いようです。まあ、そりゃそうだ。

 調査対象のサイト別だと、転送量がとくに多いのはYouTubeとYahoo!Japan。YouTubeで動画広告が多いのは当たり前のように感じますが、ポータルサイトのYahoo!Japanでも動画広告が多いとは。勝手に再生が始まる動画広告は、読者として煩わしいだけでなく、モバイル転送量まで食われる「実害」が可視化されています。良い調査ですね。

「図書館の本、スマホで閲覧可能に」とは? ―― 図書館等での権利制限規定のデジタル化・ネットワーク化への対応が検討中〈HON.jp News Blog(2020年11月12日)〉

 ワーキングチームでの議論、5回すべてオンラインで傍聴しましたので、前回の予告通り解説記事を書きました。約8000字とボリュームがあるので、お時間があるときにどうぞ。この文字数でも非常にたくさん読まれていて、喜ばしいのと同時に、世の中の関心の高さを感じます。「スマホで閲覧可能に」は、やっぱりどう考えてもミスリード。

 なお、記事配信の翌日には早速、文化庁から報告書が出ました(↓)。素早い。でも議事内容(議事録)がまだ第1回のしか出ていません。議論で「揉めた」という印象はほとんどないのですが、第2回の権利者団体へのヒアリング内容は、早めに確認できるようになっていたほうがいいように思うのですが。

 なお、朝日新聞、読売新聞からは異口同音に、複写サービス公衆送信補償金制度早期確立のための議論を進めよう、という趣旨の記事が出ています(↓)。まあ、気持ちはわかりますが、指定管理団体が決まってから、分配ルールや補償金の額が確定し、実際の運用が始まるまでに、数年はかかりそう。入手困難資料の家庭直接配信は、補償金がないので比較的早そうに思えますが。

書店併設のローソン鴨居駅東店。書店減少に対応〈Impress Watch(2020年11月12日)〉

 ローソンの書店併設型新店舗。神奈川での文教堂併設コンビニは、以前はスリーエフが展開していました。いつのまにか「ローソン・スリーエフ」にブランド変更していたのですね。ただ、公式サイトで調べてみたのですが、この新店舗はローソン・スリーエフ(株式会社エル・ティーエフ)系列ではなく、ローソンの新店舗。人の異動やノウハウ移転があったのかしら?

写真の無料保管、上限15GBに グーグルフォト、来年6月から〈共同通信(2020年11月12日)〉

 無料で無制限に保存し続けられるはずがない……と思っていたのですが、やはり有料化。悲鳴や溜息が多く観測されました。個人的にはもうだいぶ前からGoogle Oneで2TBのコースを使っており、画質を落とす「高解像度」設定も使っていなかったので、まったく影響はないのですが。

 Googleフォトは、アップロードするだけで写ってる物をAIが自動判定し、あとからキーワードで検索できるようになる点が非常に便利。たとえば「猫」で検索すると、文字で書かれた「猫」「ねこ」はもちろん、実物の猫やデフォルメされたイラスト、虎ノ門のドラえもん「トラのもん」までバッチリ引っかけてくれます。地名で検索すると、その周辺で撮った写真をまとめて掘り出せます。神か。

市立図書館を初の「デジタルライブラリー」に 熊本・荒尾市と紀伊国屋書店が構想〈毎日新聞(2020年11月12日)〉

 熊本県の荒尾市立図書館が、2022年春にショッピングセンターへ移転リニューアル。それに伴い、紀伊國屋書店が指定管理者になるということで、記者発表会に高井昌史会長が登壇、「国内初となるデジタルライブラリー」の構想を語ったそうです。学術電子図書館サービス「KinoDen」だけでなく、「紙の書籍を基本としつつも、一部資料の電子データ利用にとどまらず、出版社やマスコミのものをはじめ、専門誌、郷土資料などさまざまなデータベースや電子コンテンツを取りそろえる」予定とのこと。要するに、非来館型サービスや情報発信の充実も図っていく、ということのようです。「国内初」という冠には少し首を傾げてしまいましたが、「デジタルのコンテンツが不足している」という見解には強く同意。

出版情報登録センター(JPRO)の書誌データを公開するポータルサイト「BooksPRO」、2020年11月16日から図書館による閲覧も可能に〈カレントアウェアネス・ポータル(2020年11月12日)〉

 本のプロ向け書誌情報配信サービス「BooksPRO」が、いよいよ図書館向けにも対応を開始します。国立国会図書館が管理する「図書館及び関連組織のための国際標準識別子」(ISIL)をログインIDとするそうです。書店向けとは異なり、受発注サイトとは連携しないのと、一部の販促情報が閲覧・ダウンロードできないといった制約があるとのこと。その一方で、既刊の書誌には日本十進分類法(NDC)データが付与されるそうです。

Themaバージョン1.4の日本語訳が公開される:国際的な書籍取引のための分類コード〈カレントアウェアネス・ポータル(2020年11月12日)〉

 テーマではなくシーマと読むそうです。国際標準の書籍分類カテゴリー。普及に関わっている方から情報提供いただいたのですが、Cコードは最初に作られてから放置され機能していない、とか、取次や書店は個々の固有コードで運用されていて共有化が難しい、といった問題を、この共有コードで解決していこうとしているとのこと。図書館のNDC分類も、日本固有のものですもんね。

 こちらのページ(↓)でどういうものか確認できます。たとえば漫画全般がX、日本・アジア流漫画がXAM、児童向け漫画がXAMC、少年漫画がXAMG、少女漫画がXAMF、などといった階層構造になっています。

日本でも大量拡散したバイデン氏の「不正」めぐる情報。まとめサイトや、新興宗教系メディアが影響力か〈BuzzFeed News(2020年11月13日)〉

 アメリカ大統領選挙で「バイデン候補が不正をした!」というフェイクニュースが、なぜか「日本で」大量拡散している、というニュース。4年前を思い出します。刺激の強い情報はアクセスを集めやすいから、広告モデルと非常に相性が良いのですよね。

 こういうろくでもない嘘情報の拡散って、インターネット普及以前はスポーツ紙や週刊誌が担っていた役割だと思うのですよね。「東スポは日付以外ぜんぶ誤報」なんて言われてましたし。すっかりネットメディアにお株を奪われた感があります。フィクションだとわかった上で楽しんでいるぶんには問題ないと思うのですが、鵜呑みにしている人も意外と多そうなのが。

著作権法改正。あなたの「ネット配信」にはどう影響する?〈Forbes JAPAN(2020年11月13日)〉★

 10月1日から施行された改正著作権法では、写り込み権利制限規定の対象範囲が拡大されています。その写り込みを導入として、リーチサイト規制やダウンロード違法範囲の拡大について解説した記事です。HON.jpで私が書いた解説(↓)もそうですが、規制強化からの解説は多く見かけますけど、規制が緩くなるほうから解説する記事は珍しいと思うのでピックアップしました。こういう構成も良いですね。

(活字の海で)総額表示は誰のため? 「義務化」に揺れる出版界〈日本経済新聞(2020年11月14日)〉

 出版物の総額表示問題について、1989年の消費税導入時からの経緯が丁寧にまとめられています。関連して、版元ドットコムに「弁護士村瀬さんからの、出版物の総額表示についての見解」という記事が公開されたので紹介しておきます(↓)。総額表示違反に罰則規定はないけど、景表法における有利誤認とみなされる可能性はある、という点には注意が必要かもしれません。罰則規定ないからと油断していると、ある日突然刺されるかも。

「メディアリテラシーは誤用されている」 フェイクを見抜くよりも大切なこと〈朝日新聞GLOBE+(2020年11月14日)〉★

 スマートニュース メディア研究所の研究主幹・山脇岳志氏による、法政大学キャリアデザイン学部の坂本旬教授へのインタビュー&コラム。「誤用」というのは、メディアリテラシーは「フェイクニュースを見分ける」といった狭い意味(これは本来、情報リテラシー)ではなく、もっと広い概念であるという話です。非難ではなく、批判的に分析評価する「訓練」が大切なのではないか、と。中学生を対象とした「記事の見出しを考える」などのワークショップは、非常に役立つ上に楽しそう。

触らず立ち読み 書店がネット活用、コロナ対策も期待〈時事ドットコム(2020年11月14日)〉★

 フライヤーと日版のコラボ。まとめ#445では産経新聞の報道をピックアップしましたが、時事通信でも取り上げられたのをシェアしたらそこそこ反応があったので、改めてピックアップしました。フライヤーの要約を活用した「非接触型立ち読みコーナー」についてのニュースです。

海外

Internet Archive(IA)、ファクトチェック団体から虚偽情報と指摘されたアーカイブ情報等に注釈付きの黄色のバナーを表示〈カレントアウェアネス・ポータル(2020年11月9日)〉

 Wayback Machineに保存されたフェイクニュースに、「This Web page has been Fact Checked by Politifact here.」といった注意喚起のバナーが表示されるようになりました。ファクトチェック団体との連携によるものなるので、いずれ日本のウェブサイトにも来るかもしれませんね。

 以前、「情報の洪水と捏造の時代におけるデジタルアーカイブの意義」という月尾嘉男氏の記念講演レポート(↓)で、アーカイブした記事があとからフェイクと判明した場合に、アーカイブから消去するのではなく「これは間違っている」「理由はこの情報を参照すればわかる」といったメタデータを付与すればいい、という私見を述べておいたのですが、まさにそういう対処ですね。素晴らしい。消したら、あとから検証できないのですよ!

米人気書店、「書店のにおい」の香水を販売〈CNN.co.jp(2020年11月9日)〉★

https://www.cnn.co.jp/fringe/35162143.html

 古紙のにおいを再現した香水。この書店、コロナ禍で一時閉店になっており、「書店を懐かしがっている本好きに対して、思い出してもらえる何か元気づけるものを与えたい」と、香水を思いついたそうです。見出しを読んで吹いて、思わずシェアしちゃいました。

日本の「学習マンガ」の文化を海外で。マンガだから分かりやすい。込められた思い〈BuzzFeed Japan(2020年11月11日)〉

 2020年9月にスタートした、「マンガで学習」という選択肢を世界に広めようというサービス「Aha!Comics」について。第1弾として、ドイツの初等教育向けのかけ算学習マンガを公式サイトで無料公開(↓)、冊子3000部を無料配布しているそうです。既刊の翻訳ではなく、新規描きおろし。すごい!

EU、Amazon.comを独禁法で新たに正式調査〈ITmedia NEWS(2020年11月11日)〉

 EUでアマゾンに対し競争法(独占禁止法)違反の疑いという警告送付と、調査が始まりました。マーケットプレイスに出店している小売業者のデータを不正に流用しているという疑い。アマゾンは使っていないと主張しているようですが、EU側は証拠が見つかったという見解。果たしてどうなのか。マーケットプレイスで売れてる商品は、アマゾンが真似して仕入れ安く売るようになり潰される、という事象は、是非はともかく、よく見聞きするように思うのですが。

「耳の経済」、中国で静かに発展 ユーザー5億人超〈新華社通信(2020年11月12日)〉

 中国の音声コンテンツ市場のユーザー数が、2019年の4億8900万人から、今年は5億4200万人になる見込みとのこと。率にすると11%増くらいですが、人数だと5300万人増とぜんぜん印象が違います。人口が多い国は恐ろしい。関連で、馬場公彦氏に寄稿いただいた「なぜ中国出版市場ではオーディオブックが急伸しているのか?」も参考まで(↓)。

ブロードキャスティング

 11月15日のゲストは漫画家・こしのりょうさんでした。上記のタイトル後ろに★が付いている5本について掘り下げました。

 次回のゲストは漫画ソムリエの東西サキさんです。ZoomではYouTubeへのライブ配信終了後、オンライン交流会を開催します。詳細や申込みは、Peatixのイベントページから。

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CC BY-NC-SA 4.0
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※本稿はクリエイティブ・コモンズ 表示 – 非営利 – 継承 4.0 国際(CC BY-NC-SA 4.0)ライセンスのもとに提供されています。

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