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苦難の2020年に希望をもたらした世界のグッドニュース15選。 | Vogue Japan

2020年に明るい兆しを探すのは、希望というファンタジーでしかないように聞こえるかもしれない。しかし、私たちが今年の試練や苦難のなかを手探りで進むなか、前向きな出来事が多数あったことも事実だ。パンデミックがもたらした悲しみや喪失、倦怠感、あるいは、人種やジェンダーをめぐる人権問題、気候危機、世界的な失業増加による経済格差の拡大、医療の逼迫といった問題が山積していることは確かだし、ゆえに世界は鬱屈した空気で覆われている。その一方で、科学者や活動家、そして身近にいる英雄たちが、素晴らしい成果をもたらし続けてもいる。

例えば、アメリカ大統領選でのジョー・バイデンの大勝利や、新型コロナウイルスのワクチン開発といったニュースは間違いなく、世界を覆う闇を和らげ、次の1年への前向きな気持ちを促してくれた。

というわけで、未来への希望を運んでくれた2020年のニュース、ベスト15を振り返っていこう。

1. カマラ・ハリスが米国初の女性副大統領に。

2020年11月10日、メディアに対し、トランプ政権が連邦最高裁判所に訴えていたオバマケア(医療保険制度改革法)の無効化は覆されるべきだと訴えるカマラ・ハリス次期副大統領。Photo: Joe Raedle/ Getty Images 

11月、ジョー・バイデンがアメリカ大統領選挙でトランプ現大統領を抑えて当選を確実にした。粘り強い団結と揺るぎない信念の勝利だった。だが、真の意味で歴史を塗り替えた人物は誰だろうか? それは、女性かつ黒人、アジア系アメリカ人として初のアメリカ副大統領となったカマラ・ハリスにほかならない。勝利宣言でハリスは、「私は副大統領になった初めての女性かもしれませんが、最後にはならないでしょう」と語り、「今夜この中継を見ているすべての女の子が、この国は可能性に満ちていると感じたはずです」と続けた。トランスジェンダーとして初の州上院議員となったサラ・マクブライドから、民主党の大統領選キャンペーンを取り仕切った初の女性、ジェン・オマリー・ディロン、米議会に当選した記録的な数のLGBTQ+ まで、ハリスはたくさんの「初」を率いる存在となった。全世界の多くの人にとって、バイデンとハリスの勝利は、困難な年のなかで大きな励ましとなった。

2. 日本政府が性犯罪・性暴力対策の強化の方針を発表。

今年6月、日本の内閣府、警察庁、法務省、文部科学省、厚生労働省からなる関係府省会議が、2020年度から2022年度までを「集中強化期間」として、性犯罪・性暴力対策を強化することを発表した。同会議の議長を務めた橋本聖子男女共同参画担当大臣は発表に寄せたメッセージの中で、フラワーデモの広がりにも触れながら、被害者の切実な声を正面から受け止め、関係機関が連携して具体的な取り組みを速やかに、集中的に実行すると約束。性暴力根絶に向けての大きな一歩となった。

3. BTSやオバマ夫妻らが卒業生にエールを贈る。

パンデミックのあおりを一番受けたグループのひとつが、学生たちだ。ワクワクするような新しい学びや出会いの場と機会が奪われただけでなく、家族と離れて孤独な隔離生活を過ごした学生も多かった。卒業を祝うこともできず、あるいは卒業できたとしても就職の内定が取り消されるなど雇用環境は最悪だった。しかし、困難に苦しむ学生たちにとって一条の光となったのが、YouTube Originalsで公開された、影響力のあるリーダーやアーティストが結集して卒業生とその家族を祝うヴァーチャルな卒業式「Dear Class of 2020」シリーズ。マララやコンドリーザ・ライス、ビヨンセ、 バラク・オバマ、そしてBTSといった豪華な面々が登場し、それぞれの言葉で学生たちの奮闘を称えた。オバマは「この困難な時期を乗り切るためには、みんなで一緒にやらなければなりません。お互いの苦労に敏感でいましょう。そして、お互いの権利のために立ち上がりましょう」と語り、若者たちを勇気づけた。

4. フォーチュン500企業で女性CEOの数が過去最高に。

全米上位500社における女性のCEOが占める割合はまだわずか8%で、黒人の割合は1%に満たない。しかし2020年は、女性CEOの数が過去最高の37人となり、さらにリスト公表後には40人に達した。このリストに初めて女性CEOが登場した1972年、キャサリン・グラハムがワシントンポストのCEOに就任したときだった。その道のりは映画『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』(2017年)にも描かれており、メリル・ストリープがグラハムを演じている。以後、ゼネラル・モーターズのメアリー・バラやギャップ(GAP)のソニア・シンガル、運送会社UPSのキャロル・トメらが女性CEOとしては名を連ねている。

5. 希少種や絶滅寸前の動物が復活!

地中海に浮かぶチュニジアのクリアト島で確認されたアカウミガメの赤ちゃん。アカウミガメは国際自然保護連合により危急種に指定されているが、クリアト島では近年、卵の数は年々増加傾向にある。Photo: AKIM REZGUI/ Getty Images

新型コロナウイルスのパンデミックは、破壊的なまでのインパクトを世界に与えている。しかし、歓迎すべき変化も起こっている。今年、絶滅寸前の動物が復活し、野生生物が繁栄しつつあるのだ。いつもなら、ツーリズムによる環境汚染などによって住む場所を追われたり絶滅に追い込まれたりしている同生物だ。例えばチュニジアのウミガメは、温暖化やプラスチック汚染、乱獲を克服して急速に数を増やし、生態系に極めて重要な貢献をしている。また、絶滅が危惧されるシロナガスクジラが南極圏で23日の間に55頭見つかった。2018年の同じ時期に目撃されたのはたった1匹だった。ほぼ絶滅状態だったコロラドのオオカミも再導入プログラムが成功して復活し、生物多様性を広げている。そして過去3000年間の地球の歴史上初めて、タスマニアデビルのオーストラリアの自然保護区への再導入が成功した。ノートルダム大聖堂では、生物多様性を広げるために2013年に屋根の垂木にハチのコロニーがつくられた。その後、2019年の大火で死滅したと考えられていたが、繁栄していることが判明した。

6. プラスチックを数時間で分解する超酵素の開発が成功。

新型コロナウイルスがもたらした行動変容がもたらした環境面での恩恵は、ほかにもある。ロックダウン生活のなか、多くの国で空気やビーチがきれいになり、交通量も減ったと報告されている。その後、最初のロックダウンが解除され、地球への長期的な影響はほぼないと思われた。しかし、大きな注目を集めなかったものの、実は科学界では大きな進展が見られた。アメリカの科学者チームが「PETase」という新種のプラスチックを食べる超酵素を生み出したのだ。2016年に日本のゴミ処理場で見つかったプラスチックを食べる細菌をもとに開発された超酵素は、最も一般的な熱可塑性プラスチックを数日で分解する能力があるという(通常は数百年かかる)。

7. 99歳の英国人男性がNHSのために約45億円を調達。

キャプテン・トムことトム・ムーア退役陸軍大尉は、4月30日の100歳の誕生日にエリザベス女王からナイト爵位を与えられ、7月17日にウィンザー城にて叙勲式が行われた。Photo: Pool/Samir Hussein/ Getty Images

パンデミックのさなか、英国の退役軍人「キャプテン・トム」が従軍記章をつけ、歩行器に支えられながら自宅の庭を100往復した。国民保健サービス(NHS)のために1000ポンド(約13万7000円)の寄付を集める試みだった。しかし最終的には、当初の目標を遥かに超える3300万ポンド(約45億円)が集まり、これによってキャプテン・トムに爵位が授けられた。さらに彼の伝記映画が製作されることになったほか、アルバム「You’ll Never Walk Alone 」のジャケットにも抜擢され、本作はチャートで第1位に輝いた。現在100歳になったトム卿は、「#WalkWithTom」のハッシュタグを使った新たなキャンペーンを立ち上げ、パンデミックによる孤独と闘い、遺族を支援するための資金を集めている。「日はまた輝き、晴れ間がのぞく」とは、彼の名言だ。

8. 世界の再生可能エネルギーが記録的な伸び。

国際エネルギー機関が新型コロナウイルスの影響について発表した報告書によると、世界の再生可能エネルギーの成長はウイルスによって「阻害されてはいるが、止まってはいない」そうだ。非常に控えめな言い方ではあるが、事実、2020年が終わろうとしている今、史上最高の伸びが記録されている。過去1年間、世界の電力施設における太陽光や風力といった再生可能エネルギー源の利用率は90%という目覚ましい成長を遂げた。報告書では、2025年までにグリーン電力が最大のエネルギー源として石炭を追い抜く見通しだと予測している。家庭や企業が使えるグリーンエネルギーの選択肢がますます増えるなか、今こそ「グリーン革命」に参加するときだ!

9. 11歳のナイジェリア人バレエダンサーの夢が実現。

世界の喜びと美しさをシンプルに思い起こさせてくれる出来事として、11歳のバレエダンサー、アンソニー・メソマ・マドゥが、ラゴスで雨の中踊る自分の映像をYouTubeに公開して大きな話題を呼んだ。アンソニーは、ラゴスにあるダニエル・アジャラ・オウォセニ主宰の無料のダンススクール、Leap of Dance Academyで学ぶ12人の生徒のひとりだ。映像をきっかけに、アンソニーには複数の国際的なバレエ学校から奨学金が提示され、来年、アメリカン・バレエ・シアターに留学する予定という。「バレエは女の子のもの」というステレオタイプを壊し、映像が受け入れられたことで、地元の街に友人が増えたとアンソニーは言う。世界各地から賞賛の声が聞かれるなか、オスカー俳優ヴィオラ・デイヴィスからのコメントは特に心温まるものだ。ヴィオラは「わたしたちの民族も飛ぶことができる」というキャプション入りで、アンソニーの映像をシェアしている。

10. サーキュラーファッションの興隆。

エレン・マッカーサー財団が10月に出した、循環型経済や新型コロナウイルスからの回復に関する報告書によると、71%の消費者が古着に大きな関心を示している。また、サステナブルファッション業界のリーダーの54%が、パンデミック以降、環境を意識した習慣に対する消費者の関心が高まっていると報告している。またDepopやVestiaire Collectiveなどのリセール企業によると、2~5月のアメリカでの売上は昨年対比で150%の増加があったという。前述のエレン・マッカーサー財団の報告書には、「新品を買うのに比べ、中古品を1点買うごとに平均で1kgのゴミと3040リットルの水、そして22kgの二酸化炭素が削減される」と記されている。

11. 世界的な「生理の貧困」キャンペーンが成功!

非営利団体Free Periods設立者のアミカ・ジョージなど、若い活動家が根気強く活動しているおかげで、イギリス全土では政府が無償で少女たちに生理用品を提供している。今年の6月、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相もこれに倣い、学校の生理用品の費用を政府が負担すると発表した。生理用品が高額なために生理期間中に授業を受けることができないという「生理の貧困」が世界中で懸念されているが、それをなくすための活動が実を結び、今後も世界に広がっていくことが期待される。

12. 女性性器切除(FGM)撤廃に大きな進展。 

5月、スーダンで女性性器切除(FGM)が刑法で禁じられ、施術者に対して3年の刑期が設定された。FGMを施されると深刻な出血や感染症のほか、出産時に合併症が起こったり、新生児の死亡率が上がったりする可能性がある。ユニセフによると、現在も8つの国において80%以上の女性や少女がFGMを施されており、スーダンもそのひとつだ。FGMを禁じる新たな法律が施行された一方で、多くの人が今後も密かにFGMが継続されるのではないかと危惧しており、そうなると、さらなる健康リスクが生じる可能性がある。しかし少なくとも、新法はスーダンにおいてFGMについて公に語れる女性が増えるだろうという希望をもたらした。同国では今でも、話題にすることすらタブーとされている。

13. 同性婚が複数の国で合法化。

2019年10月に発表された、英国北アイルランドの中絶を禁止する法律の廃止と同性婚の合法化を受け、2020年2月10日に新法が施行。その翌日、ロビン・ピープルズ(左)とシャーニ・エドワーズ(右)は北アイルランド史上初の同性婚カップルとなった。Photo: PAUL FAITH/ Getty Images

2月に北アイルランドで初めて同性婚が実現した。5月には中米初の国として、コスタリカで同性婚が合法化された。7月には、タイで「Civil Partnership Bill」の草案が成立し、今後タイのゲイカップルは養子縁組もできるようになる。9月には、3年間の闘いの後、 クロアチアのゲイカップルが同国で初めて同性の里親となり、2人の子どもを家族に迎えた。さらに今年、教皇フランシスコがゲイの人々は「神の子であり、家族を持つ権利を有している。(中略)わたしたちが生み出さなければならないのは同性婚に関する法律だ」と述べ、大きな話題となった。現在もカトリックの教義がLGBTQ+の権利に関する世界各国の法律に影響を及ぼしていることを考えると、これはカトリックの教義における大きな進展だと言える。

14. 複数の国や都市で転向療法が禁止に。

異性愛以外を障害として扱い、LGBTQ+ のセクシャリティやジェンダー・アイデンティティを、広く「危険」と見なされている方法で変えようとする「コンバージョン・セラピー」がドイツとアルバニアで禁止された。また、メキシコシティなどの都市や米国のバージニア州でも禁止となった。ポリス・ジョンソン首相も英国での禁止に向けて動いており、この治療法を「許しがたい」と呼んだ。他方でFacebookやInstagramは、これらのいわゆる「心理療法」の宣伝を自社のプラットフォームで禁止すると約束した。

15. 新型コロナワクチンが(ほぼ)完成。

ドイツ政府は2020年内のワクチン接種開始を目指し、各連邦州に対して予防接種センターの開設を要請。写真はドイツ西部の街エッセンにオープンしたセンター。Photo: Ying Tang/NurPhoto via Getty Images

そして最後に、待望の良い知らせがもたらされた。製薬会社のファイザー(アメリカ)とビオンテック(ドイツ)が、開発の最終段階にある11のワクチンのひとつに90%以上の人の感染を防ぐ効果があることを発表したのだ。ある英国紙に「人類にとって大きなジャブ」(訳注:ジャブ(jab)には「予防接種」という意味もある)と表現されたワクチンは、すでにイギリスでコロナの影響を一番受けやすい介護施設の高齢者や医療従事者などへの接種が始まっている。科学的には途方もない成果であり、効果が高いと思われる結果が史上最速で実現したことになる。

Text: Sarah Raphael

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