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変異種で「医療崩壊」迫る海外の新型コロナ対策 罰則は厳しく、補償は厚く:東京新聞 TOKYO Web

バンコクで8日、再度の営業規制を受けて人出が消えた歓楽街=岩崎健太朗撮影

バンコクで8日、再度の営業規制を受けて人出が消えた歓楽街=岩崎健太朗撮影

 英国で確認された新型コロナウイルスの変異種は日本を含む50カ国・地域に広がり、欧州では「医療崩壊」が現実味を帯びる。各国は昨春並みの外出制限を導入。補償を拡充させ、厳格な罰則も科す。それでも強い感染力が指摘される変異種出現は再拡大の封じ込めをより困難にしている。

 英国は変異種の急拡大で昨年12月中旬から「感染爆発」ともいえる状況だ。英メディアによると、新規感染の約3分の2が変異種とされる。9日の感染者は約6万人、累計死者数は欧州で初めて8万人を超え「制御不能」(カーン・ロンドン市長)に陥っている。治療の優先順位を決める「トリアージ」も始まった。

 ジョンソン首相は「さらなる協力を」と懇願、イングランド地方は3回目の都市封鎖(ロックダウン)になった。外出禁止にもかかわらず感染拡大が続くのは市民が規制を守らないことも一因との指摘もある。

 英政府は休業を強いる小売りや接客、娯楽事業者などを対象に最大9000ポンド(約127万円)の補助金を支給。一方、違反者には厳罰で臨み、事業者は1000~1万ポンド、個人には200~6400ポンドの罰金を科す。

 欧州で英国に次いで感染者(12日時点で約290万人)が多いフランス。カステックス首相は会見で「平常の生活に戻るにはほど遠い」と嘆いた。飲食店の営業再開を延期、夜間外出禁止令を午後6時からに拡大する地域も増やした。

 政府は夜間外出禁止令の違反者に135ユーロ(約1万7000円)の罰金を科しているが、西部レンヌ近郊で開かれた年越しパーティーには1000人以上の若者らが参加。罰金による抑止効果にも疑問符がつく。

 ドイツは10日までの予定だったロックダウンを月末まで延長。飲食店は持ち帰りや宅配のみの営業が続く。補償は影響を受ける事業者の状況によって異なるが、家賃などの固定費を最大で月50万ユーロ(約6350万円)まで補助する。ただ事業者からは「給付が遅い」といった声も出ている。

◆壊滅的な打撃

 感染者が約2260万人、死者37万人超と世界で最も深刻な米国も各州・自治体が独自に感染対策を取る。感染状況は刻々と変わるため、商業活動や学校閉鎖の規制は頻繁に見直しを迫られている。

 昨春の第1波で全米の震源地となった東部ニューヨーク州は、冬に入って再拡大。人口が密集するニューヨーク市では飲食店内の営業を先月14日に再び禁止し、違反した店に最高1万ドル(約103万円)の罰金を科すことを決めた。

 ただ、飲食業界は小規模事業者が多く、「再度の営業禁止は壊滅的な打撃になる」(米紙ニューヨーク・タイムズ)とされ、倒産や失業急増への懸念は深い。

 米国内で最も感染状況が深刻な西部カリフォルニア州の大半は、別世帯の住民との交流も厳しく制限。閉鎖中の事業者が違反した場合、営業免許の取り消しという厳罰で臨む。

◆避けたい封鎖

 厳格な水際対策で感染拡大を抑えてきたタイでも年末年始にかけ、外国人労働者が多い海鮮市場などでクラスター(感染者集団)が発生し、市中感染が一気に拡大。再び娯楽施設の閉鎖や飲食店の営業制限、休校措置を始めている。

バンコクの国際空港ターミナルの「鬼の像」もマスク姿で警戒=岩崎健太朗撮影

バンコクの国際空港ターミナルの「鬼の像」もマスク姿で警戒=岩崎健太朗撮影

 外需に依存するタイのプラユット首相には「再度のロックダウンは避けたい」との思いが強い。政府関係者は「第1波をなんとか乗り切り、これからという時だった。持ちこたえられるのか分からない」と危機感を募らせている。
 (ロンドン・藤沢有哉、ベルリン・近藤晶、パリ・谷悠己、ニューヨーク・杉藤貴浩、バンコク・岩崎健太朗)


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