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過去20年間のテクノロジーの進歩を分析して得られた8つの教訓とは? – GIGAZINE



調査会社のガートナーは、注目すべきテクノロジーの期待値や開発状況を簡単に表したハイプ・サイクルを毎年公開しています。このハイプ・サイクルの過去20年分のデータを分析して得られた「8つの教訓」について、VMwareNetscapeのマーケティングを担当してきたマイケル・マルニー氏が解説しています。

8 Lessons from 20 Years of Hype Cycles
https://www.linkedin.com/pulse/8-lessons-from-20-years-hype-cycles-michael-mullany

ガートナーによると、ハイプ・サイクルは注目すべきテクノロジーのライフサイクルを「黎明期」「『過度な期待』のピーク期」「幻滅期」「啓発期」「生産性の安定期」の5つに分類し、各テクノロジーへの投資判断を手助けするものとのこと。例えば2020年に公開された「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル」においては、汎用人工機能(AGI)ヒューマン・オーグメンテーションといったテクノロジーが「黎明期」に位置し、複合現実(MR)や5Gといったテクノロジーが「『過度な期待』のピーク期」に位置しています。


マルニー氏はそんなハイプ・サイクルのうち「Hype Cycle for Emerging Technologies(先進技術のハイプ・サイクル)」を過去20年間分収集し、分析して得られた8つの教訓を解説しています。

◆教訓その1:将来の予測は非常に困難
ハイプ・サイクルにこれまで登場した200を超えるテクノロジーのうち、クラウドコンピューティング・3Dプリンター・自然言語検索・電子ペーパーなど、ほんの一握りのテクノロジーだけが予測の通りに成長しました。マルニー氏は「一般的に、私たちは予測をするのが苦手です」と述べています。

◆教訓その2:驚くほど多くのテクノロジーが一瞬で消える
マルニー氏によると、これまでにハイプ・サイクルに登場した200を超えるテクノロジーのうち、50を超えるテクノロジーは一度だけハイプ・サイクルに登場した「一発屋テクノロジー」だったとのこと。一発屋テクノロジーの中には2005年にハイプ・サイクルに登場したポッドキャストや2013年に登場したクラウドソーシングといった一定の支持を得ているテクノロジーもありますが、2006年に登場したフォークソノミーや2011年に登場したソーシャルTVのように現在では聞くことのないテクノロジーも多々あります。

◆教訓その3:多くのテクノロジーは日の目を見ない
ハイプ・サイクルに複数年にわたって登場していたテクノロジーの20%は、主流のテクノロジーとなることなく消え去りました。マルニー氏は「『過度な期待』のピーク期」に複数回登場したにもかかわらず日の目を見ることがなかったテクノロジーの例として超広帯域無線(UWB)や有料RSS、WiMAX、ビジネス用途のデスクトップLinuxを挙げています。

特に、メッシュネットワークは2003年~2013年の11年間に9回もハイプ・サイクルに登場しています。マルニー氏は「私はネットワークの専門家ではありませんが、メッシュネットワークを構築するのは非常に難しかったことを思い出します」と、メッシュネットワークの難産さを強調しています。


なお、マルニー氏は「近年、ようやくコンシューマー向けのメッシュネットワークが市場に登場しました」と述べています。実際にGIGAZINEでもメッシュネットワークを構築するレビュー記事複数本公開しています。

◆教訓その4:仕様の欠陥によって普及に至らなかったテクノロジーが多く存在する
ハイプ・サイクルに登場するテクノロジーの中には、設計思想自体は現在でも通用するものの、仕様の欠陥から普及に至らなかったテクノロジーも存在します。

例えば、2003年のハイプ・サイクルに登場した「WS対応のビジネスモデル」は、WS-AddressingWS-Securityといったプロトコルやメッセージ規格を表し、環境の異なるコンピューター同士が統一された規格で通信することを目指したテクノロジーとして注目されていましたが、多くの仕様上の問題があったことや、開発者が使用を敬遠したことから普及することはありませんでした。しかし、近年では同様の機能を有した標準規格が普及しています。

また、2002年にハイプ・サイクルに登場した「パブリック認証サービス」もテクノロジーに時代が追いついていなかった例の1つです。このテクノロジーは多くのサービスでの認証を単一のアカウントで行うことを目指していましたが、仕様に欠陥があったため普及には至りませんでした。しかし、2007年にはGoogleやTwitterなどが協力して権限認証テクノロジーのOAuthを開発し、記事作成時点ではGoogleやTwitter、Facebookなどのアカウントを用いて多くのサービスにサインインすることができます。マルニー氏は、「これらのテクノロジーは、アイデアは正しかったのですが、仕様に欠陥がありました」と述べています。


◆教訓その5:いくつかのテクノロジーは何十年間も開発され続けている
ハイプ・サイクルに登場したテクノロジーの中には、何年にもわたって開発され続けているテクノロジーがいくつか存在します。例えば、音声認識テクノロジーは1995年のハイプ・サイクルに初登場し、その後も開発が続けられ、近年はディープラーニングの発達に伴って人間と同等の精度にまで進歩しています。

また、データ分析に関連するテクノロジーは、過去20年間で「データマイニング(90年代)」「データ分析(2000年代)「ビッグデータ(2010年代)」と名前を変えながらハイプ・サイクルに登場し続けています。マルニー氏は、「分析したいデータの範囲やサイズの容赦ない拡大に対処するには、常に新世代のアーキテクチャが必要であるように思われます」と指摘しています。

◆教訓その6:一部のテクノロジーはまったく進歩していないように見える
量子コンピューターは、2000年には「10年以上先に実現されるテクノロジー」と考えられていました。マルニー氏は「量子コンピュータは現在でも『10年以上先に実現されるテクノロジー』として扱われています」と指摘しています。

また、2020年の「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル」に「黎明期」のテクノロジーとして登場した「ヒューマン・オーグメンテーション」についても、マルニー氏は「義肢や神経制御テクノロジーの目覚ましい進歩にもかかわらず、思考制御コンピューティングテクノロジーは開発中の段階で、少なくとも10年先まで一般提供されることはないでしょう」と推測しています。


◆教訓その7:気づかないうちに進歩しているテクノロジーが存在する
マルニー氏は、「多くのハイプ・サイクルを分析した結果、テクノロジーの中には開発が完了したか失敗したと見なされた後に画期的な進歩を遂げるものもありました。多くのテクノロジーは、前の世代が失敗したと考えられている間に、研究者やベンチャー企業、ビッグテックによって熱心に研究されています」と述べています。

画期的な進歩を遂げたテクノロジーの一例として、マルニー氏はヘッドマウントディスプレイを挙げています。1990年代後半に開発されたヘッドマウントディスプレイは、2001年のハイプ・サイクルに登場しました。しかし、当時のディスプレイ関連テクノロジーの制限により、ヘッドマウントディスプレイの開発は一時中断しました。それでも、近年のディスプレイやモーションセンサー、機械学習アルゴリズムの進歩によって、VRやAR向けの高度なヘッドマウントディスプレイが登場するに至っています。

◆教訓その8:ハイプ・サイクルに登場していない主要テクノロジーが多く存在する
マルニー氏によると、過去20年間のハイプ・サイクルに登場していないテクノロジーの中にも、多くの主流テクノロジーが開発されているとのこと。その例として、データセンターの運用面で必要不可欠となっている「x86仮想化」やSQLに依存しないデータベース管理システム群の「NoSQL」を挙げています。

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